IT人材の45%が「静かな退職」|転職で年収UPは約6割の実態

IT人材の45%が「静かな退職」|転職で年収UPは約6割の実態

「頑張っても給与に反映されない」と感じて、必要以上に力を注ぐのをやめる。そんな「静かな退職」の兆候を、IT人材の約45%が自覚しているという調査結果が出ました。一方で企業側は採用に苦戦しています。この記事では、レバテックの「IT人材白書2026」をもとに、なぜ需給のねじれが起きているのか、そしてIT人材が転職を検討すべきサインはどこにあるのかを整理します。

目次

IT人材の45%が「静かな退職」を自覚している

レバテックが企業担当者1000名・IT人材3000名を対象に実施した「IT人材白書2026」によると、IT人材の約45%が「静かな退職」の兆候を自覚していると回答しました(出典:レバテック「IT人材白書2026」)。

「静かな退職」とは、実際に会社を辞めるわけではなく、必要最低限の業務だけをこなし、それ以上の意欲的な関与をやめる働き方を指します。表面上は在籍したまま、心理的には距離を置いている状態です。

静かな退職の理由は「評価と報酬への不満」

同調査では、静かな退職に傾く理由も明らかになっています。

  • 「成果が給与・昇進に反映されない」43.5%
  • 「業務量過多で心身を優先したい」37.8%
  • 「キャリアアップに意欲がない」32.8%

(出典:レバテック「IT人材白書2026」)

つまり、上位2つは「評価されない」「働きすぎている」という、処遇と負荷への不満です。仕事そのものが嫌になったというより、努力と見返りの釣り合いが取れていないと感じている人が多いことがうかがえます。

「意欲がない」わけではない

注目したいのは、「キャリアアップに意欲がない」を理由に挙げた人が32.8%と、3つの中では最も少ない点です。多くの人は意欲を失ったのではなく、意欲を注ぐ先が見つからない、あるいは注いでも報われないと感じていると読み取れます。

これは、本人の問題というより職場環境の問題に近いと言えます。裏を返せば、評価や報酬の納得感がある環境に移れば、力を発揮できる余地が残っているということです。

「採用したいのに埋まらない」企業側の焦り

現場で静かな退職が進む一方、企業側は真逆の状況に置かれています。

約3割の企業が、IT人材の採用数目標について「達成の見通しが立たない」と回答しています。さらに、4割超の企業が前年よりIT人材の採用数を増やそうとしています(出典:レバテック「IT人材白書2026」)。

AI導入が需要をさらに押し上げている

採用を増やす背景にあるのが、AI導入の広がりです。AIを業務に取り込む企業が増えるほど、それを設計・運用できるIT人材の需要は拡大します。4割超の企業が採用数を増やす計画を立てているのは、この流れと無関係ではありません。

需要が増えているのに、約3割の企業が目標未達を見込んでいる。この事実は、IT人材が売り手市場の中にいることを示しています。

現場と経営の「すれ違い」

ここに矛盾が生まれています。企業は「人が足りない、もっと採りたい」と焦っている。しかし、すでに在籍している人材の約45%は「評価されないから頑張らない」と静かに距離を置いている。

要するに、外から採ることには力を入れているのに、中にいる人材の意欲低下は放置されがちという構図です。採用強化と定着施策が噛み合っていない企業では、このねじれがさらに広がる可能性があります。

転職で年収が上がった人は約6割

では、実際に動いた人はどうなっているのでしょうか。

同調査では、転職先を選ぶ際に重視する条件として「給与」が3年連続で1位(57.2%)となりました。そして、直近で転職した人のうち年収が「増えた」と答えた人は59.4%(約6割)にのぼります(出典:レバテック「IT人材白書2026」)。

「給与重視」は3年連続でトップ

給与が3年連続で重視条件の1位という事実は、IT人材の転職動機がはっきりしていることを示します。やりがいや働きやすさももちろん大切ですが、まず給与という納得感のある指標を求める人が多数派です。

静かな退職の理由の1位が「成果が給与に反映されない」だったことと合わせて考えると、現職への不満と転職先への期待が、どちらも「報酬」で一貫していることが分かります。

転職を検討すべきサイン

ここまでのデータから、IT人材が転職を検討する目安を整理します。以下に当てはまる項目が多いほど、環境を見直す価値があると言えます。

  • 成果を出しても給与や評価に反映されないと感じる
  • 業務量が過多で、心身の負荷が慢性化している
  • 意欲を注ぎたい対象が今の職場に見当たらない
  • 市場では需要が高いのに、自分の処遇が停滞している

ただし、年収アップは全員に保証されるものではありません。約6割という数字は「多くの人が実現している」という傾向であり、個人のスキルや市場状況によって結果は変わります。まずは自分の市場価値を求人情報などで確認するところから始めるのが現実的です。

静かな退職は、一時的な対処としては心身を守る選択でもあります。ただし長く続けると、スキルの停滞や評価のさらなる低下につながる可能性もあります。「今の環境で改善を求める」か「環境を変える」か、どちらに動くかを一度立ち止まって考えることが大切です。

この記事のまとめ

レバテック「IT人材白書2026」が示したのは、現場の静かな退職と企業の採用難が同時に進む、需給のねじれでした。要点を振り返ります。

  • IT人材の約45%が「静かな退職」の兆候を自覚している
  • 主な理由は「成果が給与・昇進に反映されない」43.5%など、処遇と負荷への不満
  • 約3割の企業が採用目標の未達を見込み、4割超が採用数を増やす計画
  • 転職先選びで重視する条件は3年連続「給与」がトップ、年収が増えた人は約6割

現職で評価や報酬に納得がいかないなら、それは環境を見直すサインかもしれません。転職を具体的に考え始めたら、まずは自分の職種の求人倍率や年収相場を求人検索で確認するところから始めてみてください。

よくある質問

「静かな退職」は問題のある働き方なのでしょうか?

必ずしもそうとは限りません。過剰な業務量から心身を守るための一時的な対処という側面もあります。ただし、レバテックの調査では理由の上位に「成果が給与に反映されない」があり、環境への不満が背景にあるケースが多いことがうかがえます。長期化するとスキルの停滞にもつながりうるため、改善を求めるか環境を変えるかを検討する材料にするとよいでしょう。

IT人材は今、転職しやすい状況なのでしょうか?

需要は高い状況です。同調査では約3割の企業が採用目標の達成見通しが立たず、4割超が前年より採用数を増やす計画と回答しています。AI導入を背景に需要が拡大しているためです。ただし、求められるスキルは企業ごとに異なるため、需要が高い=誰でも有利とは限らない点には注意が必要です。

転職すれば年収は必ず上がりますか?

必ず上がるとは言えません。調査では直近の転職者のうち年収が「増えた」と答えた人が59.4%(約6割)でしたが、これは全員ではありません。残りの人は横ばいや減少もあり得ます。年収アップの可能性を高めるには、自分の市場価値を事前に把握し、給与水準の合う求人を選ぶことが重要です。

現職に不満があるとき、まず何から始めればよいですか?

まずは自分の状況を客観的に把握することです。今の不満が「評価・報酬」なのか「業務量」なのか「キャリアの方向性」なのかを整理し、現職で改善を求められる余地があるかを確認します。そのうえで、同じ職種の求人倍率や年収相場を求人サイトで調べると、転職という選択肢が現実的かどうかの判断材料になります。

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