「転職すると年収が下がるかもしれない」。その不安で一歩を踏み出せずにいる人は少なくありません。ですが、直近のデータは逆の傾向を示しています。転職サービスdodaの調査では、転職者の64.1%が年収アップを実現し、平均アップ額は109万円超。この記事では、年代・業種・職種別の実データと、異業種転職でも6割が年収を上げている理由を整理し、あなたが年収アップの可能性を判断する材料をお届けします。
転職者の64.1%が年収アップ、平均109万円増という実態
まず結論から示します。パーソルキャリアが運営する転職サービスdodaの「転職による年収アップ成功者の傾向2026年版」によると、2025年10月〜2026年3月に転職を決めた人のうち64.1%が年収アップを実現し、平均アップ額は109万4383円でした(出典:パーソルキャリア「転職による年収アップ成功者の傾向2026年版」)。
つまり、転職した人のおよそ3人に2人が年収を上げているという計算になります。「転職=年収ダウンのリスク」というイメージとは異なる結果です。
なぜ「転職=年収ダウン」のイメージが根強いのか
年収が下がる転職も現実には存在します。未経験分野への挑戦や、労働時間・働き方を優先した転職では、一時的に年収が下がるケースもあります。こうした事例が語られやすいため、「転職は年収が下がるもの」という印象が先行しがちです。
ただし、データ全体を見れば年収アップ層のほうが多数派です。大切なのは、平均や印象ではなく、自分の年代・業種・職種で見たときにどうなるかを確認することです。
この記事で確認できること
この記事では、dodaの調査データを次の3つの軸で分解して見ていきます。
- 年代別:どの年代が年収を上げやすいか
- 業種・職種別:どの分野で上がりやすいか
- 異業種・異職種転職でも年収は上がるのか
年代・業種・職種で見る「年収が上がりやすい層」
年収アップの割合は、年代・業種・職種によって差があります。自分に近い条件を確認することで、現実的な見通しが立てやすくなります。
年代別:20代後半が最多、上げ幅は30代後半が最大
年代別で年収アップの割合が最も高いのは25〜29歳で67.9%でした。一方、平均アップ額が最も高いのは35〜39歳の131万2602円です(出典:パーソルキャリア、同調査)。
要するに、20代後半は「上がる人の割合が高い」、30代後半は「上がるときの金額が大きい」という傾向です。若手はポテンシャル採用で門戸が広く、30代は経験とスキルが評価されて上げ幅が大きくなる、と読み解けます。
業種別・職種別:技術職とインターネット業界が牽引
分野別のトップは次のとおりです。
- 業種別の年収アップ率トップ:インターネット/広告/メディア 72.1%
- 業種別の平均アップ額トップ:金融 132万4805円
- 職種別の年収アップ率トップ:技術職(SE・インフラエンジニア・Webエンジニア)74.8%・平均132万3998円
(出典:パーソルキャリア、同調査)
技術職は年収アップ率74.8%で職種別トップです。IT人材の需要が高止まりしていることが背景にあると考えられます。エンジニアやIT関連スキルを持つ人にとって、転職は年収を引き上げる有力な選択肢になり得ます。
異業種・異職種への転職でも61.2%が年収アップ
多くの人が最も不安に感じるのが、「畑違いの分野に移ると年収が下がるのでは」という点です。この不安に対して、データは明確な反論材料を示しています。
「畑違いは年収が下がる」は必ずしも当てはまらない
dodaの調査では、異業種・異職種への転職でも61.2%が年収アップを実現しています(出典:パーソルキャリア、同調査)。全体の64.1%と比べても、大きく下回ってはいません。
つまり、業種や職種を変える転職であっても、年収を上げている人が6割を超えているということです。「未経験分野は年収が下がる」という思い込みが、必ずしも実態と一致しないことがわかります。
異業種転職で年収を上げる人の共通点
なぜ異業種でも年収が上がるのか。データからは断定できませんが、一般的に次のような要因が挙げられます。
- これまでの職種で培ったスキルを、別の業種でも活かせる(ポータブルスキル)
- 成長業界・人手不足の分野へ移ることで、給与水準そのものが上がる
- マネジメント経験や専門知識が、業種をまたいで評価される
自分の経験を「業界特有のもの」と「どこでも通用するもの」に分けて棚卸しすると、異業種でアピールできる強みが見えてきます。
年収アップの転職につなげる3つの準備
データは追い風ですが、誰でも自動的に年収が上がるわけではありません。年収アップの可能性を高めるために、動き出す前にやっておきたい準備を3つ挙げます。
スキルの棚卸しと市場価値の把握
まず、自分の経験・スキルを書き出し、そのうち他社・他業種でも通用するものを整理します。あわせて、同じ職種・経験年数の求人がどのくらいの年収を提示しているかを確認し、現在地と相場のギャップを把握します。
- これまでの実績を数値で書き出す(売上・改善率・担当規模など)
- 求人サイトで同職種の提示年収レンジを調べる
- 「業界特有スキル」と「ポータブルスキル」に仕分けする
成長分野・需要の高い職種を狙う
年収アップ率が高いのは、技術職やインターネット業界など需要が旺盛な分野でした。今のスキルを活かせる成長分野があれば、そこを軸に求人を探すと年収を引き上げやすくなります。
もし現時点で成長分野のスキルが不足している場合は、リスキリング(学び直し)で不足を補ってから転職する道もあります。国のリスキリング支援制度や教育訓練給付を活用すれば、学び直しのコストを抑えられます。
焦らず、複数の選択肢を比較する
年収は転職の重要な軸ですが、唯一の軸ではありません。提示年収だけでなく、賞与・残業時間・昇給の見込み・働き方まで含めて比較すると、後悔の少ない判断ができます。1社の内定で即決せず、複数社を比較検討する余裕を持つことが大切です。
この記事のまとめ
直近のdodaの調査は、「転職で年収は下がる」という不安が、必ずしも実態と一致しないことを示していました。ポイントを振り返ります。
- 転職者の64.1%が年収アップ、平均アップ額は約109万円
- 25〜29歳は年収アップ率が最多、30代後半は上げ幅が最大
- 技術職の年収アップ率は74.8%で職種別トップ
- 異業種・異職種への転職でも61.2%が年収アップを実現
もちろん、結果には個人差があり、年収が下がる転職も存在します。それでも、多くの人が転職で年収を上げているという事実は、一歩を踏み出すか迷っている人にとって判断材料になるはずです。
まずは自分のスキルを棚卸しし、同じ職種の求人でどのくらいの年収が提示されているかを調べてみてください。現在地と相場のギャップが見えれば、次に取るべき行動が具体的になります。
よくある質問
転職すると必ず年収は上がりますか?
いいえ、必ず上がるわけではありません。dodaの調査では転職者の64.1%が年収アップした一方、上がらなかった人も一定数います(出典:パーソルキャリア「転職による年収アップ成功者の傾向2026年版」)。未経験分野への挑戦や働き方を優先した転職では、一時的に年収が下がるケースもあります。あくまで傾向として、上げている人が多数派だと捉えてください。
異業種への転職は年収が下がりやすいのでしょうか?
データ上は、そうとは限りません。同調査では異業種・異職種への転職でも61.2%が年収アップを実現しており、全体の64.1%と大きな差はありません。これまでの経験のうち、業種をまたいで活かせるポータブルスキルを整理してアピールできるかが分かれ目になります。
どの職種が最も年収を上げやすいですか?
同調査では、技術職(SE・インフラエンジニア・Webエンジニア)が年収アップ率74.8%で職種別トップでした。IT人材の需要が高いことが背景にあると考えられます。ただし、同じ職種でも経験やスキルによって結果は変わるため、個別の市場価値は求人票やエージェントの査定で確認するのが確実です。
年収アップを狙うなら何歳までに動くべきですか?
年齢による明確な期限はありません。ただし同調査では、年収アップ率は25〜29歳が67.9%で最多、平均アップ額は35〜39歳が最高でした。若手は割合が高く、30代は上げ幅が大きい傾向があります。年代ごとに評価されやすいポイントが違うため、自分の年代の強みを意識して準備することが役立ちます。
スキルに自信がない場合はどうすればいいですか?
不足しているスキルがある場合は、リスキリング(学び直し)で補ってから転職を検討する方法があります。教育訓練給付など国の支援制度を使えば、学び直しのコストを抑えられます。成長分野で通用するスキルを身につけてから動くことで、年収アップの可能性を高められます。
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