2027年労働基準法改正で副業はどう変わる?

2027年労働基準法改正で副業はどう変わる?

2027年労働基準法改正で副業はどう変わる?今すぐ知っておくべき変更点と準備ポイント

この記事でわかること:
・約40年ぶりの労働基準法大改正が2027年に延期された背景
・副業の割増賃金ルールがどう変わるのか
・会社員・人事担当者・経営者それぞれが今すぐやるべき準備

「副業をしたいけど、会社が認めてくれない」「副業を解禁したいけど、管理が複雑で二の足を踏んでいる」——そんな声が、2027年を境に大きく変わるかもしれません。

政府は約40年ぶりとなる労働基準法の大規模改正を準備しており、その核心は副業に関する労働時間の計算ルール変更です。実現すれば、企業が副業解禁に消極的だった最大の理由が取り除かれ、「副業が当たり前の時代」が一気に加速する可能性があります。

現時点でわかっていること、変わること、そして今から準備しておくべきことを整理しました。


目次

約40年ぶり改正が「2027年」に延期された理由

当初、この改正案は2026年の通常国会への提出が見込まれていました。しかし2025年12月の厚生労働相会見で見送りが明言され、現在は2027年通常国会への提出・同年4月施行が有力視されています。

延期の背景には、労使間の調整の難しさや、雇用環境への影響を慎重に見極める必要があったことが挙げられます。副業に関するルール変更は、労働者の保護と企業の管理負担のバランスをどう取るかという難題を含んでいるため、性急な立法を避けたと考えられています。

スケジュール(2026年6月時点の見通し)
・2027年通常国会:改正案提出
・2027年4月:施行(有力視)
・2027年度以降:「希望者全員が副業可能な社会」を政府目標として明記

1年の延期は、企業・個人ともに「準備期間が増えた」と前向きに捉えることが重要です。


現行ルールの何が問題だったのか

現行の労働基準法では、副業している労働者の割増賃金(残業代)は本業と副業の労働時間を合算して計算する仕組みになっています。

現行の「通算ルール」とその課題

たとえば、本業のA社で週40時間(所定労働時間の上限)勤務している人が、副業先のB社で週10時間働いた場合、B社での10時間はすべて「時間外労働」として扱われ、B社は割増賃金(基本給の1.25倍以上)を支払わなければなりません。

さらに問題なのは、A社はB社での労働時間を正確に把握しなければならず、その管理コストが膨大になる点です。

  • 副業先の労働時間を毎月正確に収集・確認する手間
  • 割増賃金の計算が複雑で給与計算ミスのリスクが高い
  • コンプライアンス上のリスクを避けるため、副業を禁止するほうが「安全」という判断

これが、多くの企業が副業解禁に踏み切れない最大の要因でした。


2027年改正で何が変わる?注目の「各社単独計算」

改正案の核心は、割増賃金の計算を「各社が自社の労働時間のみで計算する仕組み」に切り替えることです。

新ルールのポイント

改正後は、A社はA社内の労働時間だけを見て残業代を計算すればよく、B社はB社内の労働時間だけを管理すればよくなります。

[speech_bubble name=”人事担当者” icon=”” type=”l”]これまでは副業者の全勤務時間を把握して合算する必要があり、実務上ほぼ不可能でした。新ルールなら自社分だけ見ればいいので、管理コストが一気に下がります。[/speech_bubble]

現行ルール vs 改正後ルール(比較)【現行】労働時間を全社で通算 → 合算が法定時間を超えたら割増賃金が発生
→ 各社が他社の労働時間も把握する必要があり、管理コストが高い

【改正後】各社が自社の労働時間のみで計算
→ 自社内だけ管理すればOK。副業解禁のハードルが大幅に下がる

ただし、健康管理のための労働時間把握義務は維持される見通しです。割増賃金の計算から切り離されるだけで、「副業者が過労にならないよう実態を確認する」責任は各社に残ります。この点は誤解しないようにしましょう。


副業解禁がさらに加速する3つの根拠

2027年の法改正に向けて、政府・厚生労働省レベルでの副業推進の動きが複数同時に進んでいます。

1. 厚生労働省のモデル就業規則が「副業原則容認」にシフト

厚生労働省が公表している「モデル就業規則」は、多くの企業が自社の就業規則を作る際の参考にするものです。このモデル就業規則が副業を原則容認する方向で改定が進んでいます。

モデル就業規則が副業容認を「標準」として示すことで、副業禁止を維持している企業は今後、社員からの圧力や採用上の不利を受けやすくなるでしょう。

2. 政府が「希望者全員が副業可能な社会」を目標に明記

政府の実行計画には、2027年度以降「希望者全員が副業可能な社会」という目標が明記されています。これは単なるスローガンではなく、法改正・制度設計・モデル規則改定がセットで進んでいることを意味します。

3. フリーランス保護法との相乗効果

2024年に施行されたフリーランス・事業者間取引適正化等法(フリーランス保護法)との相乗効果も期待されます。副業解禁が進み、フリーランスとして活動しやすい法的環境が整うことで、「副業→独立」のキャリアパスが現実的になっていきます。


【立場別】今すぐやるべき準備ポイント

改正まで約1年。早めに動いた人・企業が有利になります。

副業を始めたい会社員

  • 自社の就業規則を確認する:副業禁止規定があるか、許可申請が必要かを確認。2027年改正を前に規則を改定する企業が増えるタイミングなので、上司や人事に相談してみましょう
  • スキルの棚卸しと市場価値の確認:副業解禁後にすぐ動けるよう、今のうちにクラウドワークスやランサーズなどで自分のスキルの需要を確かめておく
  • 確定申告の知識を身につける:副業収入が年20万円を超えると確定申告が必要。e-Taxの使い方や経費計上の基礎を今から学んでおくと後が楽になります
  • 健康管理の習慣をつける:法改正後も企業には健康管理義務が残ります。自分自身も総労働時間を記録・管理する習慣をつけておきましょう

人事担当者

  • 就業規則の改定準備:副業禁止条項を「許可制」または「原則容認・届出制」に変更する検討を開始。社内調整には時間がかかるため、早めに着手を
  • 副業申請・届出フローの設計:申請書式、承認プロセス、健康状態の確認方法などを事前設計しておく
  • 給与計算システムの確認:改正後の「各社単独計算」に対応できるよう、給与計算システムのベンダーに確認・問い合わせを

中小企業経営者

  • 副業容認を採用の武器にする:大企業に先駆けて副業を認める企業として打ち出すことで、優秀な人材確保の差別化要素になります
  • 副業人材の活用も検討:自社の従業員が副業するだけでなく、他社で働く副業人材を「週数時間」採用する活用も視野に入れましょう
  • 労務顧問・社労士への相談:改正の詳細は今後変わる可能性があります。顧問の社会保険労務士と定期的に情報共有を

まとめ:2027年は副業元年になるかもしれない

約40年ぶりの労働基準法大改正は、副業をめぐる日本の働き方を根本から変える可能性を秘めています。

  • 2027年通常国会に改正案提出・同年4月施行が有力
  • 副業の割増賃金計算が「各社単独計算」に変わり、企業の管理負担が大幅軽減
  • 健康管理のための労働時間把握義務は維持される
  • 厚生労働省モデル就業規則が副業原則容認にシフト
  • 政府は2027年度以降「希望者全員が副業可能な社会」を目標に掲げる

改正の詳細はこれからも変わる可能性があります。しかし、流れは明確です。副業解禁の波は避けられない。今から準備を始めた人が、その波に乗り遅れません。

副業やフリーランスへのキャリアチェンジを本格的に考えているなら、まず自分のスキルと市場価値を確認することが第一歩です。

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