ITフリーランスの平均単価は85.3万円に上昇——「単価下落」の実態を検証
「フリーランスは単価が下がっている」という話を聞いて、将来に不安を感じていませんか。実際、副業案件の単価下落を指摘するデータは存在します。しかし、それは市場全体を平均した数字であり、ITフリーランス・上流工程に限れば逆に単価は上昇しているというデータがあります。この記事では、INSTANTROOM社が公開した最新の市場白書をもとに、ITフリーランス市場の実態と、単価が上がる人・下がる人の分かれ目を解説します。
ITフリーランス市場は拡大基調——人口・市場規模ともに増加
INSTANTROOM社の「ITフリーランス及びフリーランスエージェント市場白書2026」によると、2025年のITフリーランス人口は約37.0万人で、前年比4.6%増となりました(出典:PR TIMES「ITフリーランス人口は2025年に37万人へ拡大、フリーランスエージェント市場は3,183億円に到達」)。
同時に、フリーランスをエージェント経由で企業に紹介する「フリーランスエージェント市場」の規模も、3,183億円(前年比24.3%増)まで拡大しています。市場を支えるエージェント企業の数も、国内で488社(前年比21.4%増)に増加しており、フリーランス人材と企業をつなぐインフラそのものが急速に整備されている段階にあると言えます。
- ITフリーランス人口:約37.0万人(前年比4.6%増)
- フリーランスエージェント市場規模:3,183億円(前年比24.3%増)
- 国内ITフリーランス専門エージェント数:488社(前年比21.4%増)
なぜ市場が拡大しているのか
人口・市場規模がそろって伸びている背景には、企業側の「即戦力を外部から柔軟に確保したい」というニーズと、働き手側の「専門性を活かして独立したい」というニーズの両方が強まっていることがあります。エージェント数の増加は、こうした需給をマッチングする仕組みへの投資が業界全体で進んでいることを示しています。
月間平均単価は85.3万円——前年から5.3%上昇
今回のデータで特に注目したいのが、月間平均売上単価が85.3万円となり、前年の81万円から5.3%上昇したという点です(出典:同白書)。
冒頭で触れたとおり、副業・フリーランス市場全体を見ると単価下落を指摘する声もあります。しかし、これは非IT領域も含めた市場全体の平均的な傾向であり、ITフリーランスという専門性の高い領域に絞ると、状況は異なります。むしろ単価は上昇基調にあるというのが、今回のデータが示す実態です。
つまり、「フリーランスの単価が下がっている」という言説は、あらゆる領域に一律に当てはまるものではなく、どの領域・どのポジションで働くかによって明暗が分かれているというのが実情に近いと考えられます。
単価上昇の背景にある需要側の変化
単価上昇の背景として白書が挙げているのが、生成AIの実務活用が本格化したことによる、PM(プロジェクトマネージャー)・PdM(プロダクトマネージャー)など上流人材への需要拡大です。生成AIをツールとして使いこなし、開発チーム全体の生産性を引き上げられるミドル・シニア層の市場価値が高まっていると分析されています。
生成AIが実装作業の一部を代替できるようになったことで、企業側が「コードを書く人」よりも「何を作るべきかを決め、チームを動かす人」に対価を払う傾向が強まっている、と捉えることができます。これは、単に「AIに詳しい人が評価される」という単純な話ではなく、AIを前提とした開発体制を設計・統括できる人材の希少性が増しているという構造的な変化です。
単価が上がる人・上がらない人を分けるもの
ここまでのデータを踏まえると、フリーランスとして単価を上げていくためには、以下のような視点が重要になると考えられます。
- 実装スキルだけでなく、要件定義・プロジェクト運営など上流工程の経験を積む
- 生成AIをコーディング支援ツールとしてだけでなく、業務プロセス全体の設計に活用する視点を持つ
- 非IT領域・実装特化領域にとどまる場合は、単価下落のリスクも念頭に置いてキャリアを設計する
ITフリーランスとしてのキャリアを検討する際は、[INTERNAL_LINK: 副業 案件単価 下がっている]で紹介した市場全体の単価動向とあわせて、自分がどの領域を目指すのかを具体的にイメージしておくと、今後のスキル投資の方向性が見えやすくなります。
エージェント選びも単価に影響する
エージェント数が488社まで増えている(前年比21.4%増)ことは、フリーランス側から見れば選択肢が広がっていることを意味します。案件の質や単価水準はエージェントによって差があるため、複数のエージェントに登録して条件を比較検討する姿勢も、単価を適正な水準に保つうえで実務的に有効と考えられます。[INTERNAL_LINK: フリーランスエージェント 選び方]も参考にしてください。
まとめ——「ITフリーランス全体」ではなく「自分の領域」で単価を判断する
2025年のデータを見る限り、ITフリーランス市場は人口・市場規模・平均単価のいずれも拡大しており、特に生成AIを実務活用できる上流人材への需要が単価上昇を牽引しています。「フリーランスの単価が下がっている」という漠然とした不安に流されるのではなく、自分がどの領域・どのポジションで勝負しているのかを具体的に把握することが、今後のキャリア設計において欠かせません。上流工程への関与や生成AI活用スキルの獲得は、単価を維持・向上させるための現実的な選択肢の一つと言えるでしょう。[INTERNAL_LINK: リスキリング 生成AI スキル]も参考にしながら、自身のポジショニングを見直してみてはいかがでしょうか。
よくある質問
Q. ITフリーランスの平均単価はどのくらいですか。
A. INSTANTROOM社の白書によると、2025年の月間平均売上単価は85.3万円で、前年の81万円から5.3%上昇しています(出典:同白書)。
Q. フリーランス全体で単価が下がっているという話と矛盾しませんか。
A. 矛盾するものではなく、対象領域の違いによるものと考えられます。非IT領域も含めた市場全体の平均では単価下落が指摘される一方、IT領域、特に上流工程に限定すると単価は上昇しているというのが今回のデータです。
Q. なぜ生成AI活用でPM・PdMなど上流人材の需要が増えているのですか。
A. 生成AIが実装作業の一部を代替できるようになったことで、企業側が「何を作るべきかを設計し、チームを統括できる人材」により高い価値を見出すようになっていると考えられます。
Q. ITフリーランス人口は今後も増え続けますか。
A. 2025年時点で約37.0万人(前年比4.6%増)まで拡大していますが、将来の推移について本記事で参照した白書は具体的な予測を示していません。今後の生成AI活用の広がり方によって変動する可能性があります。
Q. 単価を上げるために今から何をすればよいですか。
A. 実装スキルに加えて要件定義やプロジェクト運営など上流工程の経験を積むこと、生成AIを業務プロセス全体の設計に活用する視点を持つことが、現実的な選択肢として考えられます。

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