特定一般教育訓練給付金とは|最大50%戻る条件・対象講座・資格一覧

大型免許やケアマネの研修を調べていると、「特定一般教育訓練給付金の対象」という表示を見かけることがあります。一般教育訓練給付金より多く戻る制度ですが、受講前の手続きが要ることや、追加で戻る10%の条件は、スクールの案内だけでは分かりにくいものです。この記事では、特定一般教育訓練給付金の条件・戻る額・対象講座・申請の流れを、厚生労働省の資料をもとに整理します。

この記事の結論
  • 国が指定した講座を修了すると、支払った入学料と受講料の40%(上限20万円)が戻ります。資格を取って就職すると10%(上限5万円)が追加され、最大50%(上限25万円)です
  • 一般教育訓練給付金と違い、受講開始日の2週間前までにハローワークでの手続きが要ります。その前に訓練前キャリアコンサルティングも受けておく必要があります
  • 対象は全国で1,532講座です。ケアマネ(介護支援専門員)・運転免許・特定行為研修の講座で約6割を占めます

※制度と講座数の情報は2026年10月13日に確認したものです(講座数は2026年10月1日時点)。

目次

特定一般教育訓練給付金とは

特定一般教育訓練給付金は、雇用保険の「教育訓練給付金」の1つです。厚生労働大臣が指定した講座を受講して修了すると、本人がスクールに支払った入学料と受講料の一部が、ハローワークから支給されます。

厚生労働省は、特定一般の対象を「速やかな再就職及び早期のキャリア形成に資する教育訓練」と位置づけています。資格を取ってすぐ仕事に生かせる講座が中心で、ケアマネの研修や大型免許の教習などが多く指定されています。

教育訓練給付金には一般・特定一般・専門実践の3種類があり、特定一般は真ん中にあたります。

一般特定一般専門実践
戻る額20%(上限10万円)40%(上限20万円)→ 条件を満たせば50%(上限25万円)50%(年40万円)→ 条件を満たせば最大80%(年64万円)
受講前の手続き要らない受講開始日の2週間前までに受給資格確認(先に訓練前キャリアコンサルティング)同左
申請の時期修了後に1回修了後(追加分は資格取得・就職の後)受講中6か月ごと(追加分は修了後)
初めて使うときの加入期間1年以上1年以上2年以上
講座数約1,8001,5323,485

一般と比べると、戻る額は2倍になる代わりに、受講前の手続きが増えるのが一番の違いです。一般の詳しい条件は一般教育訓練給付金とは|受講料の20%が戻る条件・対象講座・申請の流れで、3種類の違いは教育訓練給付金とは|一般・特定一般・専門実践の違いと条件・もらえる額で、戻る額が一番大きい専門実践は専門実践教育訓練給付金とは|働きながら受ける条件と受講前の手続きで解説しています。

使える人の条件

特定一般教育訓練給付金を使えるのは、次のどちらかに当てはまる人です。

  • 受講を始める日に、雇用保険に入っている人(会社員・パート・契約社員などで、雇用保険の被保険者になっている人)
  • 会社を辞めた人で、辞めた日の翌日から受講を始める日までが1年以内の人

そのうえで、雇用保険に入っていた期間が3年以上(初めて使う人は1年以上)必要です。前の会社との間が1年以内なら、期間を通算できます。条件は一般教育訓練給付金と同じです。

  • 2回目以降の人: 前回の受講開始日より前の期間は数えません。前回の受講開始日から加入3年以上に加えて、前回の給付金の最後の支給決定日から今回の受講開始日の前日までに3年以上たっていることも必要です。詳しい数え方は教育訓練給付金の2回目はいつから?3年の数え方と専門実践の上限で説明しています
  • 使えない人: 雇用保険に入っていない自営業・フリーランスの人は、原則として使えません。公務員の多くも雇用保険に入っていないため対象外です

会社を辞めた後、妊娠・出産・育児・病気・けがなどで30日以上受講できなかった人は、ハローワークに申し出ると「1年以内」の期間を延ばせます(辞めてから最大20年まで)。

自分が条件を満たしているか不安なときは、受講前に住所を管轄するハローワークへ「支給要件照会」を出すと確かめられます。照会票の書き方と出し方は教育訓練給付金支給要件照会票の書き方|e-Govで電子申請する手順で説明しています。

いくら戻る?40%+追加10%の計算例

戻る額は、入学料と受講料(教育訓練経費)の40%です。40%が4千円以下なら支給されず、20万円を超える分は20万円で頭打ちになります。資格を取って就職するなどの条件を満たすと、さらに経費の10%(上限5万円)が追加されます。

入学料と受講料の合計40%追加の10%合計
1万円4,000円 → 0円(4千円以下は支給なし)——
10万円4万円1万円5万円
30万円12万円3万円15万円
50万円20万円5万円25万円
80万円20万円(上限)5万円(上限)25万円

30万円の例は、厚生労働省のパンフレットの計算例と同じです(訓練期間3か月・入学料5万円・受講料25万円)。経費が50万円を超える講座では、合計25万円が上限になります。

追加の10%を受け取る条件

追加の10%は、次の3つをすべて満たした人が受け取れます。受講開始日が2024年10月1日以降の人に限られます。

  • 講座を修了する
  • その講座が目指す資格を取る: 原則として、受講を始めた時点で予定されていた最初の試験で取る必要があります。合格の後に名簿への登録や免許の取得が要る資格は、登録した日・免許を取った日が「資格を取った日」になります
  • 修了日の翌日から原則1年以内に、雇用保険に入って働く: 会社を辞めて受講した人は、1年以内に就職すること。在職中に受講した人は、雇用されたまま1年以内に資格を取れば満たします

追加分の申請は、資格を取って就職した日(すでに働いている人は資格を取った日)の翌日から1か月以内です。修了後の申請(40%の分)とまとめて出すこともできます。

  • 試験に落ちても、講座を修了していれば40%の分は受け取れます。追加の10%だけが受け取れなくなります
  • 追加分の申請には、合格証のほか、登録が要る資格では登録証や免許証も必要です

教育訓練経費に入るもの・入らないもの

教育訓練経費になるのは、本人がスクールに支払った入学料と受講料だけです。次のものは入りません。

  • 検定試験の受験料
  • 受講に必ずしも必要ではない補助教材費、補講費、行事の参加費
  • 受講のための交通費、パソコンなどの器材の費用
  • クレジット会社の手数料
  • 申請する時点でまだ払っていない額

割引を受けたら割引後の額が経費です。スクールから物品などの還付を受ける予定がある場合や、会社が受講料に充てる手当を出した場合は、その分を差し引いて申告します。

対象講座と資格一覧(2026年10月1日時点)

特定一般教育訓練給付金の対象は、厚生労働大臣が指定した講座だけです。2026年10月1日時点で全国1,532講座が指定されています。講座は、次の4つの類型に分かれます。

類型中身講座数
1業務独占資格・名称独占資格・必置資格の養成課程や、その資格の取得を目指す課程(ケアマネ・運転免許・介護・医療など)1,449
2一定のレベル以上のITの資格の取得を目指す課程(シスコ認定資格・AWS認定試験・情報処理技術者試験など)15
3大学・専門学校の短時間(60時間以上120時間未満)の社会人向けプログラム66
4技能検定・団体等検定の合格を目指す課程(日本産業カウンセラー協会の団体検定2級)2

ほとんどが類型1です。資格ごとの講座数は次のとおりです。

資格講座数
介護支援専門員(ケアマネ)340
大型自動車第一種免許249
特定行為研修(看護師)248
中型自動車第一種免許138
準中型自動車第一種免許79
大型自動車第二種免許69
介護職員初任者研修58
無人航空機操縦士(ドローン)56
普通自動車第二種免許49
大型特殊自動車免許39
登録日本語教員32
喀痰吸引等研修26
けん引免許23
介護福祉士(実務者研修のうち120時間未満の課程)7
社会福祉士、フォークリフト運転技能講習各6
玉掛技能講習4
宅地建物取引士、福祉用具専門相談員、電気主任技術者各3
社会保険労務士、保育士、高所作業車運転技能講習、小型移動式クレーン技能講習各2
介護福祉士、登録販売者、車両系建設機械運転技能講習各1

講座の指定は毎年4月1日と10月1日に行われ、期間が決まっています。自分の受講開始日が、講座の指定の期間に入っていることが必要です。

大型免許・二種免許などの運転免許

運転免許の講座は、大型一種・中型一種・準中型・大型二種・普通二種・大型特殊・けん引を合わせて646講座あり、特定一般の4割を超えます。トラックやバス・タクシーの運転手を目指す人には、使いやすい給付金です。

ただし、指定を受けているかは教習所ごとに違います。通いたい教習所の講座が載っているかを、厚生労働省の「教育訓練給付制度 検索システム」で確かめましょう。

ケアマネ・介護・医療の講座

介護・医療の分野では、介護支援専門員(ケアマネ)が340講座で最も多く、看護師の特定行為研修が248講座、介護職員初任者研修が58講座、喀痰吸引等研修が26講座と続きます。

厚生労働省のパンフレットは、特定一般の対象に「介護支援専門員実務研修等」を含むと書いています。ケアマネの講座が試験の対策講座か、合格後の研修かは講座によって違うため、検索システムで講座の中身を確かめてから申し込みましょう。

同じ資格でも、一般か特定一般かは講座で決まる

特定一般の対象かどうかは、資格ではなく講座ごとに決まります。同じ資格を目指す講座でも、スクールがどの種類の指定を受けたかで、戻る額が変わります。

たとえば、宅地建物取引士(宅建)・社会保険労務士(社労士)・介護職員初任者研修は、特定一般の講座がある一方で、一般の講座もあります。経費が同じ30万円でも、戻る額は次のように違います。

講座の種類戻る額受講前の手続き
一般6万円(20%)要らない
特定一般12万円(40%)、資格を取って就職すれば15万円(50%)2週間前までに要る

さらに厚生労働省は、建設・自動車運転免許・技能講習・医療・介護などの分野の講座を、一般から特定一般へ移す手続きを進めています(移行の申請は2027年2月26日まで受け付け)。いま一般の講座でも、スクールが申請すれば、後から特定一般に変わることがあります。

申し込む前に、検索システムで講座名やスクール名を調べ、「一般」「特定一般」「専門実践」のどれで表示されるかを確かめましょう。調べ方の手順は教育訓練給付金とは|一般・特定一般・専門実践の違いと条件・もらえる額で紹介しています。

申請の流れ:受講の2週間前までに手続きが要る

特定一般教育訓練給付金は、受講を始める前にハローワークでの手続きが要ります。流れは次のとおりです。

  • 講座を選ぶ: 検索システムで、講座が特定一般の指定を受けているか、受講開始日が指定の期間に入っているかを確かめる
  • 訓練前キャリアコンサルティングを受ける: 訓練対応キャリアコンサルタントの相談を受け、ジョブ・カードを交付してもらう。どこで受けられるかは、最寄りのハローワークで教えてもらえます
  • 受給資格確認の手続きをする: 受講開始日の2週間前までに、住所を管轄するハローワークへ書類を出す。来所・電子申請・郵送(2週間前までの消印有効)・代理人で出せます
  • 受講して修了する: 講座ごとの修了の条件を満たし、スクールから修了証明書・領収書などを受け取る
  • 40%の分を申請する: 修了日の翌日から1か月以内に、ハローワークへ支給申請する
  • 追加の10%を申請する: 資格を取って就職した日(在職中なら資格を取った日)の翌日から1か月以内に申請する

2週間前の期限までに、キャリアコンサルティングと受給資格確認の両方を済ませる必要があります。キャリアコンサルティングを受けないと給付金は受け取れないため、受講を決めたら早めにハローワークに相談しましょう。キャリアコンサルティングの受け方は、同じ手続きが要る専門実践の記事専門実践教育訓練給付金とは|働きながら受ける条件と受講前の手続きで説明しています。

受講前の手続き(受給資格確認)で出す主な書類は、次のとおりです。

  • 教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票(マイナンバーの記入が必要)
  • ジョブ・カード(受講開始前1年以内に訓練前キャリアコンサルティングを受けたもの)
  • 本人と住所を確認できる書類(写真付きなら1種類、写真なしなら2種類)
  • マイナンバーを確認できる書類と、身元を確認できる書類
  • 振込先の通帳かキャッシュカード(公金受取口座を使うなら不要)
  • 過去に専門実践か特定一般の給付金を受けた人は、再受給時報告

受給資格確認が済むと、ハローワークから「受給資格確認通知書」が渡されます。修了後の申請で使うので、なくさないようにしましょう。修了後に出す支給申請書は一般教育訓練と同じ様式(様式第33号の2)で、書き方は教育訓練給付金の支給申請書の書き方と記入例|一般・専門実践の様式別で解説しています。電子申請の手順は教育訓練給付金支給要件照会票の書き方|e-Govで電子申請する手順をご覧ください。

修了後の申請の1か月の期限を過ぎてしまった人も、時効の2年以内なら申請できます。詳しくは教育訓練給付金の申請期限を過ぎたら?間に合わないときの対処と時効2年をご覧ください。

給付金を受け取れなくなる主なケース

次のどれかに当てはまると、特定一般教育訓練給付金は支給されません。

  • 訓練前キャリアコンサルティングを受けていない、または受給資格確認の手続きをしていない
  • 修了の条件を満たさなかった(途中でやめた・出席が足りなかった)
  • 受講開始日が、講座の指定の期間に入っていなかった
  • 雇用保険の加入期間が足りなかった、または辞めてから1年を過ぎて受講を始めた
  • 前回の教育訓練給付金の最後の支給決定日から3年たっていなかった
  • 入学料と受講料の合計が1万円以下で、40%が4千円以下だった

追加の10%は、これに加えて次の場合に受け取れません。

  • 原則として、最初の試験で資格を取れなかった
  • 修了日の翌日から1年以内に就職しなかった(会社を辞めて受講した人)
  • 受講開始日が2024年9月30日以前だった

偽りの申告をして受け取ると、受け取った額を返すことに加えて、その2倍の額の納付を命じられることがあります。

よくある質問

大型免許の教習は特定一般教育訓練給付金の対象ですか?

教習所の講座が特定一般の指定を受けていれば対象です。大型自動車第一種免許の講座は全国で249講座が指定されています(2026年10月1日時点)。指定を受けているかは教習所ごとに違うため、検索システムで確かめてください。

ケアマネの研修や講座は対象ですか?

介護支援専門員(ケアマネ)の講座は340講座で、特定一般の中で最も多く指定されています。試験の対策講座か、合格後の実務研修かは講座によって違うため、検索システムで講座の中身を確かめてから申し込みましょう。

働きながら受講しても、追加の10%はもらえますか?

もらえます。在職中の人は、雇用されたまま、修了日の翌日から原則1年以内に資格を取れば条件を満たします。

試験に落ちたら給付金はどうなりますか?

講座を修了していれば、40%の分は受け取れます。追加の10%は、原則として受講を始めた時点で予定されていた最初の試験で資格を取る必要があるため、受け取れなくなります。

一般と特定一般、どちらの講座を選べばいいですか?

同じ資格の講座なら、特定一般のほうが戻る額は2倍です。ただし、受講開始日の2週間前までに訓練前キャリアコンサルティングと受給資格確認を済ませる必要があります。受講開始まで時間が無く手続きが間に合わないときは、一般の講座を選ぶ方法もあります。一般の条件は一般教育訓練給付金とは|受講料の20%が戻る条件・対象講座・申請の流れで確かめてください。

失業中に受講するとき、生活費の給付はありますか?

特定一般では、受講中の生活費の給付はありません。失業中の生活費を支える「教育訓練支援給付金」は、専門実践の講座を受ける人だけが対象です。詳しくは教育訓練支援給付金とは|2027年3月末の期限・条件・もらえる額をご覧ください。

受講前の手続きに遅れたらどうなりますか?

受給資格確認は、受講開始日の2週間前までに済ませる決まりです。遅れたときの扱いは公式の資料に書かれていないため、気づいた時点ですぐに住所を管轄するハローワークに相談してください。

まとめ

特定一般教育訓練給付金は、国が指定した講座を修了すると入学料と受講料の40%(上限20万円)が戻り、資格を取って就職すると最大50%(上限25万円)になる制度です。一般より多く戻る代わりに、受講前の手続きが要ります。

  • 検索システムで、講座が特定一般の指定を受けているか、受講開始日が指定の期間に入っているかを確かめる
  • 訓練前キャリアコンサルティングを受け、受講開始日の2週間前までに受給資格確認を済ませる
  • 修了後1か月以内に40%の分を、資格を取って就職した後1か月以内に追加の10%を申請する

3種類の違いは教育訓練給付金とは|一般・特定一般・専門実践の違いと条件・もらえる額で、修了後の申請書の書き方は教育訓練給付金の支給申請書の書き方と記入例|一般・専門実践の様式別で確かめてください。

参考文献

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