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資格の講座を探していると、「一般教育訓練給付金の対象講座」という表示をよく見かけます。受講料の一部が国から戻る制度ですが、誰が使えて、いくら戻り、どんな手続きが要るのかは、スクールの案内だけでは分かりにくいものです。この記事では、一般教育訓練給付金の条件・戻る額・対象講座・申請の流れを、厚生労働省の資料をもとに整理します。
- 国が指定した講座を修了すると、支払った入学料と受講料の20%(上限10万円)がハローワークから戻ります
- 特定一般・専門実践と違い、受講前にハローワークで手続きをする必要はありません。修了してから1か月以内に申請します
- 対象は厚生労働省の検索システムに載っている講座だけです(約1,800講座)。同じ資格でも講座によって対象かどうかが変わるため、申し込む前に講座ごとに確かめましょう
※制度と講座の情報は2026年10月6日〜12日に確認したものです。
一般教育訓練給付金とは
一般教育訓練給付金は、雇用保険の「教育訓練給付金」の1つです。厚生労働大臣が指定した講座を受講して修了すると、本人がスクールに支払った入学料と受講料の20%(上限10万円)が、ハローワークから支給されます。
教育訓練給付金には、一般・特定一般・専門実践の3種類があります。一般は、厚生労働省が「その他の雇用の安定・就職の促進に資する教育訓練」と位置づけるもので、3種類の中で対象講座の幅が広く、手続きも軽いのが特徴です。
| 一般 | 特定一般 | 専門実践 | |
|---|---|---|---|
| 戻る額 | 20%(上限10万円) | 40%(上限20万円)→ 条件を満たせば50%(上限25万円) | 50%(年40万円)→ 条件を満たせば最大80%(年64万円) |
| 受講前の手続き | 要らない | 受講開始日の2週間前までに受給資格確認(先に訓練前キャリアコンサルティング) | 同左 |
| 申請の時期 | 修了後に1回 | 修了後(上乗せ分は資格取得・就職の後) | 受講中6か月ごと(上乗せ分は修了後) |
| 初めて使うときの加入期間 | 1年以上 | 1年以上 | 2年以上 |
3種類の違いは教育訓練給付金とは|一般・特定一般・専門実践の違いと条件・もらえる額で、最大50%が戻る特定一般は特定一般教育訓練給付金とは|最大50%戻る条件・対象講座・資格一覧で、戻る額が一番大きい専門実践は専門実践教育訓練給付金とは|働きながら受ける条件と受講前の手続きで詳しく解説しています。

使える人の条件
一般教育訓練給付金を使えるのは、次のどちらかに当てはまる人です。
- 受講を始める日に、雇用保険に入っている人(会社員・パート・契約社員などで、雇用保険の被保険者になっている人)
- 会社を辞めた人で、辞めた日の翌日から受講を始める日までが1年以内の人
そのうえで、雇用保険に入っていた期間が3年以上(初めて使う人は1年以上)必要です。前の会社との間が1年以内なら、期間を通算できます。
- 2回目以降の人: 前回の受講開始日より前の期間は数えません。前回の受講開始日から加入3年以上に加えて、前回の給付金の支給決定日から今回の受講開始日の前日までに3年以上たっていることも必要です。詳しい数え方は教育訓練給付金の2回目はいつから?3年の数え方と専門実践の上限で説明しています。
- 使えない人: 雇用保険に入っていない自営業・フリーランスの人は、原則として使えません。公務員の多くも雇用保険に入っていないため対象外です。非常勤などで雇用保険に入っている場合は、職場かハローワークで確かめてください
支給要件に年齢の条件はありません。65歳以上で雇用保険に入っている人(高年齢被保険者)も対象に含まれます。
会社を辞めた後、妊娠・出産・育児・病気・けがなどで30日以上受講できなかった人は、ハローワークに申し出ると「1年以内」の期間を延ばせます(辞めてから最大20年まで)。
自分が条件を満たしているか不安なときは、受講前に住所を管轄するハローワークへ「支給要件照会」を出すと、受給資格があるかを確かめられます。来所・電子申請・郵送で出せますが、電話では受け付けていません。照会は任意で、しなくても修了後の申請はできます。照会票の書き方と出し方は教育訓練給付金支給要件照会票の書き方|e-Govで電子申請する手順で説明しています。

いくら戻る?20%・上限10万円の計算例
戻る額は、入学料と受講料(教育訓練経費)の20%です。20%が4千円以下なら支給されず、10万円を超える分は10万円で頭打ちになります。
| 入学料と受講料の合計 | 20% | 戻る額 |
|---|---|---|
| 2万円 | 4,000円 | 0円(4千円以下は支給なし) |
| 10万円 | 2万円 | 2万円 |
| 30万円 | 6万円 | 6万円 |
| 50万円 | 10万円 | 10万円 |
| 80万円 | 16万円 | 10万円(上限) |
つまり、経費が約2万円以下の講座では戻らず、50万円を超える講座では10万円が上限です。
教育訓練経費に入るもの・入らないもの
教育訓練経費になるのは、本人がスクールに支払った入学料と受講料(最大1年分)だけです。次のものは入りません。
- 検定試験の受験料
- 受講に必ずしも必要ではない補助教材費、補講費、行事の参加費
- 受講のための交通費、パソコンなどの器材の費用
- クレジット会社の手数料
- 申請する時点でまだ払っていない額
差し引かれるものに注意
スクールや会社から受講の見返りを受けたときは、その分が経費から差し引かれます。
- スクールの特典: テキストなどの物品・金券・ポイントを受け取ると、スクールが「返還金明細書」を出し、その額を差し引いて申告します
- 割引: 割引を受けたら、割引後の額が経費です。自治体の割引を使った場合も同じです
- 会社からの手当: 会社が受講料に充てる手当を出した場合は、その分を差し引きます。会社が受講料を直接払った場合は、原則として経費になりません
反対に、受講開始日の前1年以内にキャリアコンサルタントのキャリアコンサルティングを受けていれば、その費用を2万円まで経費に加えられます(記録と実施の証明書が必要です)。
対象講座:どんな講座が指定されている?
一般教育訓練給付金の対象は、厚生労働大臣が指定した講座だけです。厚生労働省の「教育訓練給付制度 検索システム」で種類を「一般」に絞ると、1,772件の講座が見つかりました(2026年10月6日時点)。
厚生労働省は、対象講座の例として、情報処理技術者資格・簿記検定・介護職員初任者研修の修了などを目指す講座を挙げています。検索システムでは、日商簿記2級・3級、TOEIC、MOS、ITパスポートの講座が一般で指定されていました。
指定の基準:短い講座は対象外
講座が指定を受けるには、期間と時間の基準を満たす必要があります。原則として、通学制は1か月以上1年以内(受講時間50時間以上)、通信制は3か月以上1年以内です。数日で終わる短期のセミナーなどは、対象になりません。
講座の指定は毎年4月1日と10月1日に行われ、期間は原則3年です。自動では更新されないため、自分の受講開始日が指定の期間に入っているかも確かめる必要があります。
種類は資格ではなく講座で決まる
同じ資格を目指す講座でも、スクールがどの種類の指定を受けたかで、一般(20%)か特定一般(最大50%)かが変わります。たとえば介護職員初任者研修は、一般の例として挙がる一方で、特定一般の対象にも含まれています。特定一般の対象講座を資格ごとにまとめた一覧は、特定一般教育訓練給付金とは|最大50%戻る条件・対象講座・資格一覧で紹介しています。
さらに厚生労働省は、建設・自動車運転免許・技能講習・医療・介護などの分野の講座を、特定一般へ移す手続きを進めています。いま一般の講座でも、スクールが申請すれば、後から特定一般に変わることがあります。
申し込む前に、検索システムで講座名やスクール名を調べ、「一般」「特定一般」「専門実践」のどれで表示されるかを確かめましょう。調べ方の手順は、教育訓練給付金とは|一般・特定一般・専門実践の違いと条件・もらえる額で紹介しています。
資格の講座で使う例:行政書士・社労士・宅建
通信講座のアガルートアカデミーでは、行政書士・社会保険労務士(社労士)・宅地建物取引士(宅建)の講座が一般教育訓練の指定を受けています。2027年合格目標の講座で、戻る額を試算すると次のとおりです。
| 講座 | 訓練期間 | 教育訓練経費(税込) | 戻る額(20%) | 自己負担 |
|---|---|---|---|---|
| 宅建 入門カリキュラム(フル) | 12か月 | 107,800円 | 21,560円 | 86,240円 |
| 宅建 中上級カリキュラム(フル) | 12か月 | 129,800円 | 25,960円 | 103,840円 |
| 社労士 入門カリキュラム(フル) | 12か月 | 261,800円 | 52,360円 | 209,440円 |
| 社労士 中上級カリキュラム(フル) | 12か月 | 305,800円 | 61,160円 | 244,640円 |
| 行政書士 入門カリキュラム(フル) | 12か月 | 327,800円 | 65,560円 | 262,240円 |
- 教育訓練経費はアガルートの案内(税抜の額)に消費税10%を足した試算です(2026年10月12日時点)。セールなどの割引を使うと、割引後の額が経費になり、戻る額も変わります。正確な額は、スクールが出す書類で確かめてください
- どの講座も訓練期間は12か月です。修了してから申請するため、給付金が入るのは申し込んでから1年以上あとになります
- 修了の条件は講座ごとに決まっています。アガルートの案内では「全講義の70%以上を視聴し、指定の修了課題で70%以上の得点」が条件です。満たさないと給付金は受け取れません
講座の内容と受講料は、アガルートの各講座のページで確かめられます。
申請の流れ:受講前の手続きは要らない
一般教育訓練給付金は、受講前にハローワークへ行く必要がありません。流れは次のとおりです。
- 講座を選ぶ: 検索システムで、講座が一般の指定を受けているか、受講開始日が指定の期間に入っているかを確かめる。不安なら支給要件照会を出す
- 申し込む: スクールに、教育訓練給付金を使うことを伝える。本人確認の書類を求められることがあります
- 受講する: 受講開始日は、通学制は決められた開講日、通信制は教材が発送された日です
- 修了の条件を満たす: 出席・視聴・課題など、講座ごとの修了の条件を満たす
- 書類を受け取る: スクールから教育訓練修了証明書・領収書・教育訓練経費等確認書などを受け取る
- ハローワークに申請する: 修了日の翌日から1か月以内に、住所を管轄するハローワークへ。来所・郵送(1か月以内の消印有効)・電子申請・代理人で出せます。電子申請の手順は教育訓練給付金支給要件照会票の書き方|e-Govで電子申請する手順で説明しています
- 振り込まれる: 支給が決まると、指定の口座に振り込まれます
ハローワークに出す主な書類は、次のとおりです。
- 教育訓練給付金支給申請書(様式第33号の2)
- 教育訓練修了証明書
- 領収書(クレジットで払った場合はクレジット契約証明書)
- 教育訓練経費等確認書(特典などで差し引く額があれば返還金明細書も)
- 本人と住所を確認できる書類、マイナンバーを確認できる書類
- 振込先の通帳かキャッシュカード(公金受取口座を使うなら不要)
領収書は、スクール(指定を受けた教育訓練実施者)が出したものに限られます。販売代理店などが出した領収書は認められません。
申請書の欄ごとの書き方は教育訓練給付金の支給申請書の書き方と記入例|一般・専門実践の様式別で解説しています。1か月の期限を過ぎてしまった人も、時効の2年以内なら申請できます。詳しくは教育訓練給付金の申請期限を過ぎたら?間に合わないときの対処と時効2年をご覧ください。

自己都合で辞める人は、失業給付の給付制限が解除される
2025年4月から、教育訓練を受けた人は、自己都合で辞めたときの失業給付(基本手当)の「給付制限」が解除されるようになりました。

正当な理由なく自己都合で辞めると、失業給付は7日間の待期の後、さらに一定の期間(2025年4月1日以降に辞めた人は原則1か月)支給されません。これが給付制限です。
次のどちらかに当てはまる人は、この給付制限が解除されます。
- 辞めた日の前1年以内に、教育訓練給付金の対象講座などを受けた人(途中でやめた場合は対象外)
- 辞めた日以後に、教育訓練給付金の対象講座などを受けている人(受講を始めた日以後の分が解除)
どちらも、2025年4月1日以降に受講を始めた講座に限られます。一般教育訓練の講座も対象です。
- 解除を受けるには、受給資格の決定の日か、その後の初回の認定日までに、ハローワークへ申し出る必要があります。期限を過ぎると、解除前の期間の分を受け取れないことがあります
- 申し出には、訓練の開始日が分かる領収書か、修了日が分かる修了証明書などが要ります
- 重責解雇(自分の重大な責任による解雇)の場合は対象外です
在職中に資格の講座を修了してから転職を考えている人は、退職後にハローワークで手続きをするときに、講座を修了したことを伝えましょう。細かい条件はハローワークで確かめてください。
給付金を受け取れなくなる主なケース
次のどれかに当てはまると、一般教育訓練給付金は支給されません。
- 修了の条件を満たさなかった(途中でやめた・視聴や課題が足りなかった)
- 受講開始日が、講座の指定の期間に入っていなかった
- 雇用保険の加入期間が足りなかった、または辞めてから1年を過ぎて受講を始めた
- 前回の教育訓練給付金の支給決定日から3年たっていなかった
- 入学料と受講料の合計が約2万円以下で、20%が4千円以下だった
- 修了後の申請が、時効の2年を過ぎた
偽りの申告をして受け取ると、受け取った額を返すことに加えて、その2倍の額の納付を命じられることがあります。特典の受け取りや会社からの手当は、必ず申告しましょう。

よくある質問
働きながらでも一般教育訓練給付金を使えますか?
使えます。受講を始める日に雇用保険に入っていて、加入期間の条件を満たしていれば、会社員のまま受講できます。
給付金はいつもらえますか?
講座を修了してハローワークに申請し、支給が決まった後に振り込まれます。受講中にはもらえません。訓練期間が12か月の講座なら、申し込んでから1年以上あとになります。
一般と特定一般、どちらの講座を選べばいいですか?
同じ資格の講座なら、特定一般のほうが戻る額は大きくなります(最大50%)。ただし、受講開始日の2週間前までに、訓練前キャリアコンサルティングと受給資格確認の手続きが必要です。手続きの時間を取れるかも含めて、検索システムで講座の種類を確かめてから選びましょう。
途中で講座をやめたら、給付金はもらえますか?
もらえません。一般教育訓練給付金は、講座を修了した人だけが対象です。失業給付の給付制限の解除も、途中でやめた場合は対象外です。
2つの講座の給付金を同時に申請できますか?
できません。複数の講座の支給申請を同時に行うことはできません。また、一度受け取ると、次の講座の受講開始日が前回の支給決定日から3年以上あとでないと使えません。どの講座で使うかを先に決めておきましょう。
会社を辞めた後でも使えますか?
辞めた日の翌日から1年以内に受講を始めれば使えます。妊娠・出産・育児・病気などで30日以上受講できなかった人は、ハローワークに申し出ると期間を延ばせます。
まとめ
一般教育訓練給付金は、国が指定した講座を修了すると、入学料と受講料の20%(上限10万円)が戻る制度です。受講前の手続きが要らないぶん、講座選びと修了後の申請が大切になります。
- 検索システムで、講座が一般の指定を受けているか、受講開始日が指定の期間に入っているかを確かめる
- 講座ごとの修了の条件を満たし、スクールから書類を受け取る
- 修了日の翌日から1か月以内に、ハローワークへ申請する
申請書の書き方は教育訓練給付金の支給申請書の書き方と記入例|一般・専門実践の様式別で、3種類の違いは教育訓練給付金とは|一般・特定一般・専門実践の違いと条件・もらえる額で確かめてください。



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