40代・50代の学び直し(リスキリング)|資格とAIの2つの道と給付金

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40代・50代で学び直し(リスキリング)を考えたとき、最初に迷うのは「何を学ぶか」です。ITもマーケティングも英語も、と候補を広げるほど決められなくなります。この記事では、選択肢を「経験を資格にする」「今の仕事にAIを足す」の2つの道に絞り、それぞれの費用と、国の制度で戻るお金、受講前にしておく手続きを整理します。

この記事の結論
  • 40代・50代の学び直しは、今の経験に何を足すかで考えると選びやすくなります。この記事では「経験を資格にする(キャリアコンサルタント)」と「今の仕事にAIを足す」の2つを比べます
  • どちらの道にも、受講料を下げる国の制度があります。キャリアコンサルタントの講習なら、教育訓練給付金で受講料の最大80%が戻ります
  • 教育訓練給付金は、受講開始日の2週間前までにハローワークでの手続きが必要です。講座を決めたら、申し込む前に手続きの時期を確かめましょう

※制度と講座の情報は2026年10月12日時点で確認したものです。

目次

40代・50代のリスキリングは「経験に足す」から考える

40代・50代の学び直しで、まったく新しい分野を一から学ぶのは簡単ではありません。仕事や家庭の時間をやりくりしながら、20代と同じ土俵で経験を積み直すことになるからです。

そこでこの記事では、これまでの仕事の経験に、何を足すかから考えます。足し方は、大きく2つあります。

道足すもの向いている人
① 経験を資格にする人と向き合ってきた経験を、国家資格(キャリアコンサルタント)にする人事・営業・接客・教育などで、人の相談に乗ってきた人
② 今の仕事にAIを足す生成AIやデータの使い方を学び、今の仕事を速く・広くする今の職場や職種で、仕事の幅を広げたい人

どちらか一方を選ぶ必要はありません。順番に両方を学ぶこともできます。ただし、国の制度には「一度使うと、次に使えるまで間をあける」決まりがあるため、順番は先に決めておくと安心です(後の章で説明します)。

道①:経験を資格にする(キャリアコンサルタント)

キャリアコンサルタントは、働く人の職業の選び方や能力の伸ばし方について相談に乗る専門家で、国家資格です。人の話を聞き、仕事や職場の事情を踏まえて一緒に考える仕事なので、人事・営業・接客・教育などで人と向き合ってきた経験と結びつけやすい資格です。

項目内容
資格の種類国家資格。試験に合格し、名簿に登録した人だけが「キャリアコンサルタント」を名乗れる(名称独占)
受験資格実務経験が無い人は、厚生労働大臣が認定する養成講習(150時間)を修了する
試験年3回(例年3月・7月・11月前後)。日程は実施機関が年度ごとに発表
試験の費用学科8,900円・実技29,900円
登録登録手数料8,000円+登録免許税9,000円。5年ごとに更新

名称独占とは、資格を持つ人だけがその名前を名乗れる、という意味です。弁護士や税理士のように、仕事そのものを資格を持つ人に限る「独占業務」とは違います。

講習の費用は、教育訓練給付金で最大80%戻る

養成講習の受講料は、30万円前後が中心です。厚生労働省の指定を受けた講習なら、専門実践教育訓練給付金で受講料の最大80%が戻ります。

段階条件戻る額
①講習を修了した受講料の50%
②修了の翌日から1年以内に資格を取り、雇用されているさらに20%
③②に加えて、受講前より賃金が5%以上上がったさらに10%

②の「資格を取る」は、試験に合格して名簿に登録するところまでを指します。また、原則として受講開始日の時点で予定されていた最初の試験で取る必要があります。在職中の人は、資格を取れば「雇用されている」に当たるので、転職しなくても②の対象です。

例:パソナのキャリアコンサルタント養成講習

株式会社パソナの「100年キャリア講座 キャリアコンサルタント養成講習」は、専門実践教育訓練の指定講座です(指定期間は2026年10月1日〜2029年9月30日)。

項目内容
受講料385,000円(税込・入学金0円)
講習の形eラーニングと、土日祝のオンライン授業
開講月2月・6月・10月(変更になる場合あり)。次は2027年2月(スクールの案内)
修了の基準出席率80%以上、試験の得点率60%以上

給付金を使った場合の自己負担は、次のとおりです。

受講料 385,000円の場合

  • 修了すると 192,500円が戻り、自己負担は192,500円
  • 予定の回の試験で合格・登録すると、さらに 77,000円が戻り、自己負担は115,500円
  • さらに賃金が5%以上上がると 38,500円が戻り、自己負担は77,000円

賃金が上がるかどうかは職場によります。「最大80%」ではなく、まずは50%〜70%で計算しておくと安心です。ガイダンス(説明会)では、次の開講日と、どの回の試験に向けた講習かを確かめましょう。

ほかのスクールとの比べ方や、転職を目指す人向けの「もう一つの受け方」は、キャリアコンサルタント養成講習に専門実践教育訓練給付金を使う条件と流れで詳しく説明しています。

道②:今の仕事にAIを足す

もう一つの道は、今の仕事に生成AIやデータの使い方を足すことです。プログラマーに転身するのではなく、文書の作成、資料づくり、データの整理など、今の仕事をAIで速く・広くするための学び直しです。長く働いてきた人は、自分の仕事のどこにAIを使うと効くかを見極めやすい立場にいます。

AIの講座の費用を下げる方法は、使える制度によって3つに分かれます。

方法1:教育訓練給付金で受けられるAI・データの講座

経済産業省の認定と厚生労働省の指定を両方受けた講座(Reスキル講座)なら、キャリアコンサルタントの講習と同じ専門実践教育訓練給付金で、受講料の最大80%が戻ります。

たとえば、インターネット・アカデミーの「AI・データサイエンティストコース」(12か月)は訓練経費 587,988円で、80%が戻れば自己負担は 117,597円です(2026年10月4日時点)。ただし、基礎・初級の講座は認定の対象外のため、期間が長めの本格的な講座が中心です。講座の探し方は、第四次産業革命スキル習得講座(Reスキル講座)とはで説明しています。

方法2:転職を目指すなら、経済産業省の補助金

今の会社を辞めて転職を目指す人は、経済産業省の「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」で、受講料の最大70%(上限56万円)の補助を受けられます。補助は2段階で、講座の修了で50%、転職して1年後に20%です。

例として、AI CONNECT の「業務効率化AIスキル実践」(約4か月)は、事務局の検索ページの定価 500,000円(税別)に対して、補助をすべて受けると 150,000円(税別)になります。

この補助は、2027年3月31日までに講座を修了する人だけが対象です。約4か月の講座なら、2026年11月開始が目安になります。また、転職を目指さない人は対象外で、教育訓練給付金とも併用できません。

対象になる人と申し込みの流れは、リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業とはにまとめています。

方法3:制度を使わない、40〜60代向けの講座

給付金や補助金の対象ではないものの、40〜60代に絞って、生成AIの使い方と仕事での生かし方を、専属のトレーナーが伴走しながら教える講座もあります。費用は講座ごとに違い、サイトに載せていないところもあります。無料の説明会やカウンセリングで、総額と、受講後にどんな支援があるかを確かめてから決めましょう。

2つの道を比べる

比べる点① 経験を資格にする② 今の仕事にAIを足す
目指すもの国家資格を取り、名乗れるようにする今の仕事でAIを使えるようにする
期間の例講習は数か月。その後に試験数か月〜12か月(講座による)
費用の例385,000円(パソナ)500,000円(AI CONNECT・税別)、587,988円(インターネット・アカデミー)
使える制度教育訓練給付金(最大80%)教育訓練給付金(Reスキル講座)、転職を目指すなら補助金(最大70%・2027年3月修了まで)
自己負担の例77,000円〜192,500円117,597円(給付金80%)、150,000円(補助金70%・税別)
向いている人人の相談に乗る経験を生かし、社内外で相談の役割を担いたい人今の職場・職種のまま、仕事の幅を広げたい人

両方を学びたい人は、順番に気をつけてください。教育訓練給付金は、一度受けると、原則として3年以上あけないと次を受けられません(前回の受講開始日以降に、雇用保険の加入期間が3年以上必要)。たとえば、キャリアコンサルタントの講習で給付金を使うと、その後3年は、AIの講座で給付金を使えません。制度を使わない講座や、補助金(転職を目指す場合)と組み合わせる方法もあります。

「セカンドキャリア 資格」で選ぶときの注意

40代・50代で資格を選ぶときは、次の4つを先に確かめておくと、遠回りを防げます。

  • 資格を取ることが目的になっていないか。取った後に、社内のどの場面で、または誰に向けて使うかを書き出してみる
  • 名称独占か、独占業務か。キャリアコンサルタントは名称独占で、資格が無いと名乗れないが、相談の仕事そのものを資格者に限るものではない
  • 費用と、戻る額を先に計算したか。給付金は「最大80%」ではなく、確実に受けられる段階(修了で50%)で計算しておく
  • 試験の時期と、講座の修了日が合っているか。給付金の上乗せ(20%)は、原則として受講開始時に予定した試験で資格を取ることが条件

給付金を使うための条件(40代・50代で気をつけること)

教育訓練給付金は、雇用保険(会社員などが入る失業や育児の保険)から出るお金です。受けられるのは、次のどちらかに当たる人です。

状況条件
在職中受講開始日に雇用保険に入っていて、加入期間が3年以上(初めて受ける人は、専門実践なら2年以上)
離職中会社を辞めた日の翌日から受講開始日までが1年以内で、加入期間が上と同じ

40代・50代で気をつけたいのは、次の3点です。

  • 受講前の手続き: 専門実践の講座は、受講開始日の2週間前までに、ハローワークで訓練前キャリアコンサルティングと受給資格確認の手続きをする。申し込んでからでは間に合わないことがある
  • 前回からの間隔: 以前に教育訓練給付金を受けた人は、前回の受講開始日から3年以上の加入期間が必要。前の会社で使った人も確かめる
  • 離職後の期限: 会社を辞めた人は、辞めた日の翌日から1年以内に受講を始める

年齢については、支給要件に年齢の条件はありません。65歳以上で雇用保険に入っている人(高年齢被保険者)も対象に含まれます。なお、失業中の生活費を支える「教育訓練支援給付金」には45歳未満という条件がありますが、受講料が戻る教育訓練給付金とは別の制度です。

給付金の種類や手続きの全体は教育訓練給付金とは|一般・特定一般・専門実践の違い、専門実践の条件と流れは専門実践教育訓練給付金とはで詳しく説明しています。受講前の手続きに間に合いそうにないときは、教育訓練給付金の申請期限を過ぎたら?を読んでください。

よくある質問

50代でも教育訓練給付金は使えますか?

使えます。支給要件に年齢の条件は無く、雇用保険の加入期間などの条件を満たしていれば対象です。65歳以上で雇用保険に入っている人も含まれます。

働きながら受けられますか?

受けられます。在職中で雇用保険に入っている人も対象です。キャリアコンサルタントの講習は、eラーニングと土日のオンライン授業を組み合わせたものもあります。

生成AIの講座に給付金は使えますか?

講座によります。厚生労働省の指定を受けた講座だけが対象です。受ける前に、厚生労働省の「教育訓練給付制度 検索システム」で、講座名やスクール名を検索して確かめましょう。

会社を辞めずに補助金は使えますか?

経済産業省のキャリアアップ支援事業は、在職中の人が対象ですが、転職を目指すことが条件です。今の会社で働き続けたい人は、教育訓練給付金を使う講座を選びましょう。

キャリアコンサルタントの試験に落ちたら、給付金はどうなりますか?

講習を修了していれば、50%は支給されます。上乗せの20%と10%は、原則として予定していた回の試験で資格を取ることが条件のため、落ちると対象外になることがあります。講習を修了すれば受験資格は残るので、講習を受け直す必要はありません。

まとめ

40代・50代の学び直し(リスキリング)は、これまでの経験に何を足すかで考えると、選択肢を絞りやすくなります。

  • 経験を資格にするなら: キャリアコンサルタントの養成講習。教育訓練給付金で受講料の最大80%が戻る
  • 今の仕事にAIを足すなら: 給付金の対象の講座(Reスキル講座)か、転職を目指すなら補助金(2027年3月修了まで)
  • どちらでも: 給付金は受講開始日の2週間前までにハローワークで手続き。前回から3年の間隔にも注意

キャリアコンサルタントの講習が気になる人は、まず無料のガイダンスで、次の開講日と、どの回の試験に向けた講習かを聞いてみましょう。

参考文献

  • 厚生労働省「キャリアコンサルタントになりたい方へ」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/career_consultant01.html
  • 厚生労働省「専門実践教育訓練の『教育訓練給付金』のご案内」 https://www.mhlw.go.jp/content/001529622.pdf
  • ハローワークインターネットサービス「教育訓練給付金」 https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_education.html
  • 経済産業省「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」(事務局) https://careerup.reskilling.go.jp/

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