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「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」は、経済産業省が行っている、転職を目指す会社員向けの支援です。キャリア相談・講座の受講・転職支援をまとめて受けられ、講座の受講料は最大70%(上限56万円)が補助されます。
ただし、この事業で個人が支援を受けられるのは、講座を2027年3月31日までに修了する人に限られます。6か月の講座なら、2026年10月に始めるのが最後の目安です。この記事では、対象になる人・補助の金額・申し込みの流れと、補助を使える具体的なスクールをまとめます。
- 対象は、会社などに雇われて働いていて、別の会社への転職を目指す人
- 補助は、講座を修了したときに受講料の1/2(上限40万円)、転職して1年たったときにさらに1/5(上限16万円)。合計で最大70%・56万円
- 講座の修了期限は2027年3月31日。2027年度以降の延長は、2026年9月27日時点で発表されていない
- 教育訓練給付金とは併用できない
リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業とは
リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業(以下、キャリアアップ支援事業)は、在職中の人が新しいスキルを学び、転職によってキャリアアップすることを後押しする経済産業省の事業です。事務局は株式会社野村総合研究所が担当しています。
この事業では、国に採択された民間のスクールや人材会社(「補助事業者」と呼ばれます)が、次の3つをひと続きで提供します。

補助金は「スクールに」支払われる
この事業の補助金は、個人ではなく補助事業者に支払われます。受講する人は、補助事業者から値引きやキャッシュバックの形で受講料の負担が軽くなります。
そのため、ハローワークや役所で自分が申請する手続きはありません。申し込みから補助まで、すべて補助事業者(スクール)を通して進みます。
受付はいつまで?2027年3月末までの修了が条件
個人への支援を行う期間は2027年3月31日までと決まっています。補助事業者向けの公募要領では、受講の修了日が2027年3月31日より後になると、受講料を軽くする補助の対象から外れるとされています。
講座の期間から逆算すると、始められる時期の目安は次のとおりです。
| 講座の期間 | 始める時期の目安 |
|---|---|
| 約6か月 | 2026年10月開始 |
| 約4か月 | 2026年11月開始 |
| 約2か月 | 2027年1月開始 |
講座を始める前に、キャリア相談を受けて講座を決め、契約する必要があります。表の時期より早めに動くほうが安全です。
すでに新規の受付を終えたスクールや、受講開始の期限を「2026年10月開始まで」のように講座ごとに区切っているスクールもあります(2026年9月27日時点)。
対象になる人・ならない人
対象になるのは、補助事業者に登録するときと、キャリア相談の初回の面談のときに在職している人です。そのうえで、雇用主が変わる転職を目指していることが条件です。講座を受けることだけが目的の人は対象外です。
| 対象になる | 対象にならない |
|---|---|
| 会社などと雇用契約を結んで働いている人 | 経営者・個人事業主・フリーランスなど、雇用契約を結んでいない人 |
| 休職中・副業中でも、雇用契約を結んでいて転職を目指す人 | 無職の人 |
| 公務員のうち、雇用保険に入っている人 | 雇用保険に入っていない公務員 |
| 外国籍でも、雇用契約を結んでいて転職を目指す人 | 講座を受けることだけが目的の人 |

「雇用主が変わる転職」に当たるもの・当たらないもの
| 当たる | 当たらない |
|---|---|
| 他の会社へ、正社員・パート・アルバイトとして転職する | 今の会社で正社員になる |
| 派遣先の会社で正社員になる | 派遣先を変える |
| — | 今の会社の中で昇進する |
| — | 独立・開業する |

補助はいくら?最大70%・56万円の内訳
補助は2段階に分かれています。どちらも、講座の受講費用(税別)をもとに計算します。

計算の例:テラキャン プログラミング 就業両立コース
補助事業者の株式会社SHIFTが事務局の検索ページに載せている講座で計算します。
| 項目 | 金額(税別) |
|---|---|
| 受講費用 | 808,500円 |
| ① 修了時の補助(1/2 = 404,250円 → 上限で) | 400,000円 |
| ② 転職1年後の補助(1/5 = 161,700円 → 上限で) | 160,000円 |
| 補助をすべて受けたときの負担 | 248,500円 |
テラキャン プログラミングの公式ページでは、税込で「定価889,350円 → 実質329,350円」と案内されています。
転職しなかったとき・資格が取れなかったとき
- 転職を目指したが、結果として転職しなかった場合: 支援の対象のままです。講座を修了していれば①は受けられ、②は出ません
- 講座の目標の資格に合格できなかった場合: 講座を修了していれば①の対象です
申し込みから補助を受けるまでの流れ
- 補助事業者を探す:事務局の「補助事業者を探す」ページで、学びたい職種やスキルから講座を検索する(この記事の後半で、具体的なスクールも紹介します)
- 補助事業者に登録し、キャリア相談を受ける:無料。この時点で在職している必要がある
- 講座を申し込む:契約のときに、この事業の補助を使うことを申し出る
- 講座を受けて修了する:2027年3月31日までに修了する。修了すると①の補助を受けられる
- 転職支援を受けて転職する:補助事業者の紹介で転職先を決める
- 転職先で1年働く:1年続けて働いたことが確認できると②の補助を受けられる
補助①②が値引きとして先に反映されるか、いったん全額を払って後から戻ってくるかは、スクールによって違います。契約の前に確認してください。
申し込む前に知っておきたい注意点
教育訓練給付金とは併用できない
厚生労働省の教育訓練給付金と、この事業は一緒に使えません。事務局の補助事業者向けFAQ(No.148)には、次のように書かれています。
出典:リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業 事務局「補助事業者向けFAQ」No.148(2025年8月29日更新)
同じFAQでは、この事業で支援を受ける人に、補助事業者が教育訓練修了証明書などの証明書を出さない扱いも示されています。同じスクールが、講座によって教育訓練給付金の対象にもなっていることがあるため、「どちらの制度で受けるか」を契約前にはっきりさせておきましょう。
自分で見つけた転職先では②の補助が出ない
②の補助の対象になる「転職」は、次のどちらかに限られます。
- 補助事業者が行う職業紹介による転職
- 転職支援をしている職業紹介事業者に、その会社自身の社員として雇われる転職
一般の転職サイトや知人の紹介など、補助事業者を通さずに決めた転職は、②の対象になりません。
講座を修了する前に転職しない
補助事業者向けの公募要領では、受講料を軽くする条件が「転職先に入社する日までに講座を修了した場合」とされています。転職先が先に決まっても、入社日より前に講座を修了しておく必要があります。
複数の講座を別々に申し込むことはできない
個人が複数の講座を別々に申し込んで受けることはできません。ただし、複数の講座がひとつのパッケージになっているものは対象です(事務局FAQ No.37)。
補助を使える対象スクールの探し方
事務局の「補助事業者を探す」ページでは、職種や取得したいスキルから講座を検索できます。「詳細を見る」から各補助事業者のページに移り、そこから申し込みや問い合わせができます。どの分野が向いているかわからない人向けに、最大4つの質問に答える「カンタン職種診断」もあります。
おすすめのIT・AIを学べる対象スクール
事務局の検索ページに載っている補助事業者のうち、IT・AIや専門職のスキルを学べるスクールを紹介します。金額は事務局の検索ページに載っている定価と、補助をすべて受けたときの費用です(2026年9月3日更新のデータ)。
| スクール | 分野 | 講座の例(期間) | 定価 → 補助をすべて受けたとき |
|---|---|---|---|
| テラキャン プログラミング(株式会社SHIFT) | プログラミング | 就業両立コース(約6か月) | 808,500円 → 248,500円 |
| AI CONNECT(株式会社D4cアカデミー) | 生成AI・データ分析 | 業務効率化AIスキル実践(約4か月) | 500,000円 → 150,000円 |
| KADODE Academy(株式会社KADODE) | Webエンジニア・DX | WEBエンジニアコース(約6か月) | 180,000円 → 54,000円 |
| コトラ(株式会社コトラ) | データ分析・M&A・人事 | M&Aシニアエキスパート養成講座(約1か月) | 120,000円 → 36,000円 |
受付の状況や、どのコースが補助の対象かは変わることがあります。無料の相談で「キャリアアップ支援事業の補助を使えるか」を必ず確認してください。
テラキャン プログラミング(旧 DMM WEBCAMP)

株式会社SHIFTが運営するプログラミングスクールです。以前の「DMM WEBCAMP」「SHIFT TERAS CAMPUS」から名前が変わっています。公式サイトでは、3つのコースすべてが補助金の対象(最大70%)と案内されています。
- 短期集中コース: 1日約6.5時間を3か月続け、最短での転職を目指すコース。チーム開発やポートフォリオの制作に取り組む
- 就業両立コース: 今の仕事を続けながら、1日2〜3時間ずつ6か月かけて学ぶコース。3コースの中で唯一、専属のメンター(学習の相談相手)が付く。クラウドの学習も含まれる
- 専門技術コース:1日約5時間を4か月続け、プログラミングに加えてAI・クラウドの知識も学ぶコース。チーム開発にも取り組む
2026年9月時点で、値引きのキャンペーンも行われています(スクールの案内による。短期集中コースが154,000円、就業両立コースが209,000円・いずれも税込み。2026年11月に終わる予定)。キャンペーンの価格と上の補助を合わせて使えるかは、無料カウンセリングで確かめてください。
短期集中コースには転職保証があり、転職できなかったときは受講料が全額返金されます(スクールの案内による。条件あり)。
無料カウンセリングはオンラインで約1時間です。補助の対象になるかどうかや、補助金の手続きについても説明を受けられます。申し込みはカウンセリングの後に自分で行う形で、その場で申し込む必要はありません。補助を使う場合、修了期限(2027年3月31日)に間に合う開始の目安は、就業両立コース(6か月)が2026年10月、専門技術コース(4か月)が11月、短期集中コース(3か月)が12月です。
給付金(教育訓練給付金)が使えるプログラミングスクールとの違いは、プログラミングスクールで給付金を使う条件|補助金との違いと対象講座の探し方で比べています。
AI CONNECT

株式会社D4cアカデミーが運営する、生成AIとデータ分析を学ぶオンラインのサービスです。営業職・バックオフィス職・企画職など職種別のコースがあり、eラーニングで時間や場所を選ばずに学べます。
約2か月の短いコースもあるため、今から始めても修了期限に間に合わせやすいのが特徴です。公式サイトでは、補助に加えたキャンペーンも案内されています。条件は公式サイトで確認してください。
KADODE Academy

株式会社KADODEが運営する、未経験から働きながらIT業界を目指すためのオンラインスクールです。公式ページでは「受講料から最大70%OFF(6か月で卒業した場合)」と案内されていて、補助を使うための条件と手続きは無料カウンセリングで説明を受ける形です。
定価が比較的低く、補助をすべて受けたときの負担が5万円台に収まるのが特徴です。
KOTORA(コトラ)

ハイクラス・金融・コンサルティング分野の転職支援を行う株式会社コトラも、補助事業者の1社です。M&A・IPO、DX・データ分析、人的資本経営(人事)の分野で講座を用意しています。
データ分析実務スキル検定(CBAS)講座など、受講料がかからない講座もあります。また、コトラの案内ページでは、国の補助とは別に、受講の修了とコトラを通じた転職で受講料を返金する独自の制度(最大100%)が紹介されています。専門職としてキャリアを上げたい人向けの選択肢です。
教育訓練給付金とどちらを使う?
学び直しの費用を国が支える制度には、厚生労働省の教育訓練給付金もあります。2つは併用できないため、どちらかを選ぶことになります。
| 項目 | キャリアアップ支援事業 | 教育訓練給付金 |
|---|---|---|
| 担当 | 経済産業省 | 厚生労働省 |
| 手続きの窓口 | 補助事業者(スクール) | ハローワーク |
| 転職 | 雇用主が変わる転職を目指すことが条件 | 条件ではない |
| 補助の割合 | 最大70%(上限56万円) | 講座の種類による(専門実践教育訓練は最大80%・年間上限64万円) |
| 期限 | 2027年3月31日までに修了 | 期限の定めはない(講座ごとに指定期間がある) |
転職するつもりがはっきりしていて、キャリア相談や求人の紹介もまとめて受けたい人には、キャリアアップ支援事業が向いています。今の会社で働き続けながらスキルを伸ばしたい人や、修了期限に間に合わない人は、教育訓練給付金を検討しましょう。教育訓練給付金には、雇用保険に入っていた期間などの条件があります。
よくある質問
キャリアアップ支援事業はいつまで使えますか?
講座を2027年3月31日までに修了することが条件です。講座の期間を考えると、6か月の講座なら2026年10月開始が最後の目安になります。2027年度以降の延長は、2026年9月27日時点で発表されていません。
転職しないと補助は受けられませんか?
雇用主が変わる転職を目指していることが条件です。ただし、転職を目指したものの結果として転職しなかった場合も、講座を修了していれば受講料の1/2(上限40万円)の補助は受けられます。転職後1年の追加の補助(1/5)は出ません。
パート・アルバイト・派遣社員でも対象ですか?
一次資料では、会社などと雇用契約を結んで働いている在職者が対象とされていて、雇用形態による区別は書かれていません。派遣社員の場合、派遣先の会社で正社員になるのは「転職」に当たりますが、派遣先を変えるだけでは当たりません。
公務員は使えますか?
国家公務員・地方公務員は原則として対象外です。ただし、雇用保険に入っている人は対象になります(事務局FAQ No.16、2026年1月6日更新)。
複数の講座を受けられますか?
複数の講座を別々に申し込んで受けることはできません(事務局FAQ No.37)。複数の講座がひとつのパッケージになっているものは対象です。なお、1人が何回まで使えるかは一次資料に書かれていません(2026年9月27日確認)。申し込む補助事業者に確認してください。
年齢制限はありますか?
事務局の個人向けページ・公募要領・FAQのどれにも、年齢の条件は書かれていません(2026年9月27日確認)。講座によっては事前の知識が求められることがあるため、申し込む補助事業者に確認してください。
自分で見つけた会社に転職しても、追加の補助は出ますか?
出ません。追加の補助(1/5)の対象になるのは、補助事業者の職業紹介による転職と、転職支援をしている職業紹介事業者に自社の社員として雇われる転職だけです。
補助金はいつ受け取れますか?
講座を修了したときに受講料の1/2、転職して1年続けて働いたことが確認できたときに1/5の補助が出ます。値引きとして先に反映されるか、キャッシュバックとして後から戻るかは、補助事業者によって違います。
まとめ
- キャリアアップ支援事業は、在職中で別の会社への転職を目指す人が、キャリア相談・講座・転職支援をまとめて受けられる経済産業省の事業
- 補助は受講料の最大70%(上限56万円)。修了時に1/2、転職して1年後に1/5
- 講座の修了期限は2027年3月31日。6か月の講座なら2026年10月開始が最後の目安で、延長は発表されていない
- 教育訓練給付金とは併用できない。転職を目指さない人は教育訓練給付金を検討する
使うかどうか迷っている人は、まず補助事業者の無料相談で、補助の対象になるコースと受講を始められる時期を確かめるところから始めましょう。
- リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業 事務局「転職をご検討の方」
- 同 事務局「補助事業者の公募要領(六次公募)」
- 同 事務局「補助事業者向けFAQ」
- 同 事務局「補助事業者を探す」(2026年9月3日更新のデータ)
- 経済産業省「令和9年度概算要求 PR資料(一般会計)」
- テラキャン プログラミング「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業について」
- コトラ「リスキリング講座✕転職支援サービス」
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