学び直しをしたいのに「仕事を休むと生活費が不安」で足踏みしていませんか。2025年10月、その障壁を直接ねらった新しい制度が動き出しました。教育訓練のために休暇を取ると生活費相当が受け取れる教育訓練休暇給付金と、雇用保険に入っていない人向けのリ・スキリング等教育訓練支援融資です。この記事では、この2つの新制度の中身と、既存の給付金・助成金との違いを整理し、自分がどれを使えるかを判断できるようにします。
2025年10月に始まった「休暇中の生活費」を支える新制度
これまでのリスキリング支援は、受講料の補助が中心でした。2025年10月からは、そこに「学んでいる間の生活費」を支える仕組みが加わっています。
学び直しをためらう理由は、受講料だけではありません。「まとまった時間を取るために休むと、その間の収入が途切れる」という不安が大きなハードルになっていました。新制度は、この収入面の空白を埋めることを狙っています。
- 教育訓練休暇給付金(雇用保険の被保険者が対象)
- リ・スキリング等教育訓練支援融資(雇用保険の被保険者以外が対象)
働いている人と、そうでない人の両方をカバーする設計になっています。
教育訓練休暇給付金とは
教育訓練休暇給付金は、雇用保険の被保険者が教育訓練のために休暇を取得した場合に、生活費を支える給付金です。厚生労働省の資料によると、2025年10月から施行されており、令和8年度当初予算案では129億円が計上されています(出典:厚生労働省「リスキリング関連の主な施策 一覧(R8.1.27時点)」)。
雇用保険の被保険者とは、簡単に言えば「雇用保険に加入して働いている人」です。会社員やパートタイマーでも、一定の条件で加入していれば対象になり得ます。
ポイントは、受講料そのものではなく「休んでいる間の生活」に着目している点です。育児休業や介護休業のときに給付があるのと同じ発想を、学び直しの休暇にも広げたものと考えられます。
リ・スキリング等教育訓練支援融資とは
もう1つが、リ・スキリング等教育訓練支援融資です。こちらは雇用保険の被保険者以外の人を対象に、教育訓練の費用や生活費を融資する制度で、同じく2025年10月から施行されています。令和8年度当初予算案は2.1億円です(出典:同上)。
給付金は「返さなくてよいお金」ですが、融資は「借りるお金」であり返済が必要です。この点は混同しないよう注意してください。
既存の「教育訓練給付金」との違いを整理する
新制度を理解するには、以前からある教育訓練給付金との違いを押さえるのが近道です。名前が似ているため混同しやすいので、役割の違いで整理します。
受講料を補助するのが「教育訓練給付金」
教育訓練給付金は、厚生労働大臣が指定した講座を受けたときに、受講料の一部が支給される既存制度です。令和8年度当初予算案は427億円と、リスキリング関連施策のなかでも規模が大きい制度です。給付率は2024年10月に最大8割まで引き上げられています(出典:厚生労働省「リスキリング関連の主な施策 一覧」)。
つまり、教育訓練給付金が支えるのは「学ぶためのお金(受講料)」です。
生活費を支えるのが「休暇給付金・支援融資」
一方、2025年10月に始まった休暇給付金と支援融資が支えるのは「学んでいる間の生活費」です。役割が重なっているのではなく、補い合う関係にあります。
要するに、両者を組み合わせることで「受講料」と「生活費」の両面から学び直しを支える形が整いつつある、と理解すると分かりやすいです。
- 受講料の負担を軽くしたい → 教育訓練給付金(既存・最大8割)
- 休んで学ぶ間の生活費が心配(雇用保険加入者)→ 教育訓練休暇給付金(新設)
- 雇用保険に入っていないが学びたい → リ・スキリング等教育訓練支援融資(新設)
企業向けの助成金も含めた支援の全体像
個人向けの給付金・融資に加えて、リスキリングを進める企業を支える助成金もあります。制度の全体像を知っておくと、勤務先の研修制度を活用する道も見えてきます。
人材開発支援助成金
人材開発支援助成金の「人への投資促進コース」「事業展開等リスキリング支援コース」は、令和8年度当初予算案で405億円が計上されています(出典:厚生労働省「リスキリング関連の主な施策 一覧」)。これは、従業員に訓練を実施した企業側に支給される助成金です。
個人が直接受け取るものではありませんが、勤務先がこうした助成金を使えば、社内研修やスキルアップの機会が増える可能性があります。「会社の研修制度を使い倒す」という選択肢も、学び直しの現実的な一手です。
経済産業省のキャリアアップ支援事業
経済産業省の「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」は、令和4年度補正で753億円、令和5年度補正で97億円規模の事業で、キャリア相談からリスキリング、転職支援までを一体的に補助する設計です(出典:厚生労働省「リスキリング関連の主な施策 一覧」)。
学び直しを「受講だけ」で終わらせず、相談から転職までをつなげようとする流れがある、と読み取れます。
- 2025年10月、学び直し中の生活費を支える新制度が2つ始まった
- 雇用保険加入者は「教育訓練休暇給付金」、加入者以外は「支援融資」
- 受講料は既存の「教育訓練給付金」(最大8割)が担い、役割が補い合う
- 企業向け助成金を通じて社内研修が充実する可能性もある
制度を使う前に確認しておきたいこと
新しい制度は、支給要件や申請手続きの詳細が今後さらに整備・周知されていく段階にあります。利用を検討するなら、次の手順で最新情報を確認するのが安全です。
- 自分が雇用保険の被保険者かどうかを確認する(給付金と融資で対象が分かれるため)
- 受けたい講座が教育訓練給付金の指定講座かを調べる
- 勤務先に教育訓練休暇の制度があるか、就業規則を確認する
- 厚生労働省・ハローワークの公式情報で最新の要件を確認する
特に、休暇給付金は「休暇を取得できること」が前提になります。制度としてお金の支援があっても、職場で休みが取りにくければ使えません。勤務先の休暇制度とセットで考える必要があります。
この記事のまとめ
2025年10月に始まった教育訓練休暇給付金とリ・スキリング等教育訓練支援融資は、これまで手薄だった「学び直し中の生活費」を支える制度です。受講料を補助する既存の教育訓練給付金(最大8割)と組み合わせることで、費用と生活費の両面から学び直しを後押しする形が整いつつあります。
「学びたいけれど休むとお金が心配」という理由で先延ばしにしていた方は、まず自分が雇用保険の被保険者かどうかを確認し、ハローワークや厚生労働省の公式情報で最新の要件をチェックしてみてください。制度は動き出したばかりで、詳細は順次アップデートされていきます。使えるものを正しく把握することが、学び直しの第一歩になります。
よくある質問
教育訓練休暇給付金は誰でも受け取れますか?
対象は雇用保険の被保険者で、教育訓練のために休暇を取得した場合とされています。雇用保険に加入していない方は、代わりにリ・スキリング等教育訓練支援融資の対象となる制度設計です。具体的な支給要件は厚生労働省・ハローワークの公式情報で確認してください。
教育訓練休暇給付金と教育訓練給付金は何が違いますか?
支える対象が異なります。教育訓練給付金は受講料の一部(最大8割)を補助する制度です。一方、教育訓練休暇給付金は休暇を取って学ぶ間の生活費を支える制度で、2025年10月に新設されました。受講料と生活費という別々の負担を、それぞれがカバーする関係です。
リ・スキリング等教育訓練支援融資は返済が必要ですか?
融資であるため返済が必要です。給付金(返済不要)とは性質が異なります。雇用保険の被保険者以外の方を対象に、教育訓練費用や生活費を融資する制度として2025年10月から施行されています。利用する際は返済計画を立てたうえで検討してください。
会社員でも学び直しの助成を受けられますか?
会社員は雇用保険の被保険者であれば、教育訓練給付金や教育訓練休暇給付金の対象となり得ます。また、勤務先が人材開発支援助成金を活用すれば、社内研修などの形でスキルアップの機会が増える可能性もあります。まずは就業規則や勤務先の研修制度を確認してみてください。
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