「リスキリングを始めたいけれど、どの講座を選べば給付金の対象になるのか分からない」。そんな悩みを持つ社会人に向けて、2026年10月1日から新たに使える専門実践教育訓練の新規指定138講座と、受講費用の最大80%が戻る給付金の仕組みを整理します。デジタル系50講座の内訳と、給付率を段階的に引き上げる条件まで具体的に解説します。
10月から138講座が追加、累計3,485講座が給付対象に
厚生労働省は2026年8月6日、教育訓練給付金の対象となる「専門実践教育訓練」の令和8年10月1日付け指定講座を公表しました。新規指定は138講座で、累計の給付対象講座数は3,485講座になります(厚生労働省発表、2026年8月6日付)。
専門実践教育訓練とは、中長期的なキャリア形成に役立つと国が認めた講座のことです。受講費用の一部が給付金として戻ってくるため、個人がリスキリング(学び直し)に取り組む際の負担を大きく減らせます。
まず押さえておきたいのは、今回の138講座が「今すぐ使える」わけではない点です。指定日は令和8年(2026年)10月1日。それ以降に受講を開始する講座が対象になります。
- 2026年10月から新規138講座が給付対象に加わる
- デジタル人材向け講座が50講座と最多
- 給付率は条件を満たすと最大80%まで上がる
- オンライン・夜間・土日の講座も拡充されている
「専門実践教育訓練」とは何か
教育訓練給付金には、大きく分けて3つの区分があります。専門実践教育訓練は、そのうち最も給付率が高く、対象講座も専門性の高いものが中心です。
具体的には、業務独占資格(その資格がないと従事できない仕事)や名称独占資格(その名称を名乗るのに資格が必要な仕事)の養成課程、デジタル分野の実践講座、専門職大学院などが含まれます。
会社の研修とは異なり、個人が自分の意思で申し込み、給付を受ける制度です。在職中でも、離職中でも一定の条件を満たせば利用できます。
新規138講座の内訳、最多はデジタル系50講座
138講座の中で最も多かったのは、デジタル人材の育成を目的とした講座です。類型別の内訳を見ると、リスキリングの方向性がはっきり読み取れます。
厚生労働省の発表によると、類型別で最も多かったのは「第四次産業革命スキル習得講座等」で50講座。次いで、業務独占資格・名称独占資格の養成課程が63講座でした。
「第四次産業革命スキル習得講座」とは、AI・IoT・データサイエンス・クラウドといったデジタル分野の実践的なスキルを学ぶ講座を国が認定したものです。つまり、今回追加された講座の中でも、デジタル系が大きな比重を占めていることになります。
デジタル系と資格系、どちらを選ぶか
- デジタル系(50講座):AI・データ分析・クラウドなど。IT業界への転職やDX推進部門への異動を狙う人向け
- 資格系(63講座):看護師など、資格がないと就けない専門職を目指す人向け
自分がどちらの方向に進みたいかで、選ぶ講座の性質が変わります。デジタル系は比較的短期で学べるものが多く、資格系は数か月から数年単位の養成課程が中心です。
働きながら学べる環境が広がっている
今回の指定では、受講形式の多様化も進みました。オンライン講座58講座・夜間講座7講座・土日講座16講座が新たに指定されています(厚生労働省発表)。
仕事を続けながらリスキリングに取り組みたい社会人にとって、この選択肢の広がりは実用的な意味を持ちます。通勤圏に通学先がなくても、オンラインで完結する講座なら地方在住でも受講しやすくなります。
給付率は最大80%、3段階で引き上がる仕組み
専門実践教育訓練給付金の最大の特徴は、条件を満たすほど給付率が上がる点です。単に受講費用の一部が戻るだけでなく、就職や賃金上昇といった成果に応じて追加給付があります。
給付は以下の3段階で構成されます(厚生労働省の制度設計に基づく)。
- 基本給付:受講費用の50%(年間上限40万円)を支給
- 資格取得・就職:修了後1年以内に資格取得・就職した場合、20%(同16万円)を追加
- 賃金上昇:受講後に賃金が5%以上上がった場合、さらに10%(同8万円)を追加
3段階すべてを満たすと、給付率は合計で最大80%に達します。仮に受講費用が50万円の講座なら、条件次第で自己負担が大きく軽減される計算です。
なぜ「成果連動」の設計になっているのか
この3段階の仕組みは、単に学ぶだけでなく「学んだ後にキャリアへつなげる」ことを後押しする狙いがあると考えられます。資格取得や就職、賃金上昇という具体的な結果に給付を紐づけることで、学び直しが実際の収入やキャリアに反映されやすくなります。
要するに、受講して終わりではなく、修了後の行動まで見据えて講座を選ぶことが、給付金を最大限活用するコツになります。
申請前に確認しておきたいこと
給付金を利用する際は、事前の手続きが欠かせません。特に、受講開始前の手続きを飛ばすと給付を受けられない場合があります。
- 受講開始前に、原則としてキャリアコンサルティングを受ける必要がある
- 受給資格があるかを事前にハローワークで確認する
- 講座が令和8年10月1日以降の開始分として対象になっているかを確認する
制度の細部は改正されることがあるため、申し込み前に必ず最新の公式情報を確認してください。
この記事のまとめ
2026年10月1日から、専門実践教育訓練に138講座が新たに加わり、給付対象は累計3,485講座になります。デジタル系が50講座と最多で、オンライン・夜間・土日講座も拡充され、働きながら学べる環境が整いつつあります。
給付率は基本の50%に加え、資格取得・就職で20%、賃金上昇で10%が上乗せされ、条件次第で最大80%まで引き上がります。ポイントは、受講そのものより「修了後にどうキャリアへつなげるか」まで考えて講座を選ぶことです。
リスキリングを具体的に検討し始めたら、まずは厚生労働省の「教育訓練給付制度」の検索システムで、自分の目指す分野の講座が10月以降の対象になっているかを確認するところから始めるのがおすすめです。
よくある質問
専門実践教育訓練給付金は在職中でも使えますか?
はい、一定の条件を満たせば在職中でも利用できます。雇用保険の被保険者期間などの要件があるため、受講前にハローワークで受給資格の確認を受けてください。離職中の場合も、離職からの期間などの条件を満たせば対象になります。
138講座はいつから受講できますか?
令和8年(2026年)10月1日付けで指定される講座のため、それ以降に受講を開始するものが給付対象になります。8月時点ではまだ受講開始前であり、各講座の募集時期や開講日は提供機関ごとに異なります。
給付率は本当に最大80%になりますか?
制度上は、基本の50%に加えて資格取得・就職で20%、賃金が5%以上上昇した場合にさらに10%が加算され、合計で最大80%になります。ただし、これらはすべての条件を満たした場合の上限であり、年間の支給上限額もあります。全員が80%を受け取れるわけではない点に注意してください。
デジタル系と資格系のどちらを選ぶべきですか?
目指すキャリアによって異なります。IT業界への転職やDX部門を目指すならデジタル系(第四次産業革命スキル習得講座など)、看護師のように資格が必須の専門職を目指すなら資格系の養成課程が向いています。まず自分の進みたい方向を決めてから講座を絞り込むのが現実的です。
講座が給付対象かどうかはどこで確認できますか?
厚生労働省が運営する「教育訓練給付制度 検索システム」で、講座名や分野から対象講座を検索できます。令和8年10月1日以降の指定分については、公表資料や検索システムで対象かどうかを確認したうえで申し込むと確実です。
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