28卒の就活は内々定「後ろ倒し」志向|早期化との逆転を読む

28卒の就活は内々定「後ろ倒し」志向|早期化との逆転を読む

大学2年次の冬までに就活を始める28卒学生が3割を超えました。それでいて、内々定を「早くほしい」と考える学生はむしろ減っています。動き出しは早く、決断は急がない。この一見矛盾した傾向の背景と、企業・学生・保護者がそれぞれ取るべき対応を、dodaキャンパスの最新調査データから読み解きます。

目次

28卒就活で起きている「早期化」と「後ろ倒し」の同時進行

まず結論から示します。28卒(2028年3月卒業予定)の就活では、就活の開始は早まる一方、内々定を得たい時期は後ろにずれるという現象が同時に起きています。

dodaキャンパス(ベネッセ i-キャリア)の「28卒学生のインターンシップ・就活に関する実態調査」によると、大学2年次の冬までに就活を開始した割合は31.6%で、27卒より5.6ポイント増えました(出典:dodaキャンパス 2026年8月4日リリース)。3人に1人が2年生のうちに動き始めている計算です。

開始は早いのに内々定は急がない

ところが、内々定のタイミングに対する意識は逆の方向に動いています。

  • 「2026年12月(3年次12月)まで」に内々定を得たい学生は31.7%で、27卒比7.2ポイント減
  • 就活を終えたい時期は「2027年4月(4年次4月)以降」が74.8%と7割を超える

つまり、情報収集やインターン参加は前倒しでも、意思決定そのものは大学4年に入ってからで構わないと考える学生が多数派になっています。

早期化と後ろ倒しは矛盾しない

一見すると矛盾していますが、行動の中身を分けて見ると筋が通ります。就活の「開始」は情報を集め、選択肢を広げるフェーズです。一方で内々定の「取得」は選択肢を絞り込むフェーズにあたります。

早く動くのは選択肢を増やすため、決断を遅らせるのは納得して選ぶため。28卒学生は、この2つを切り分けて動いていると読み取れます。

なぜ28卒は内々定を「後ろ倒し」にしたいのか

早く決めればラクになるはずなのに、あえて急がない。その背景には、限られた情報で早々に進路を固めることへの慎重さがあります。

「納得感のある意思決定」を優先する心理

就活を終えたい時期が4年次4月以降に集中しているという結果は、早い時期の内々定を「ゴール」ではなく「選択肢の一つ」として捉えている学生像を示しています。夏や秋に早期内定を得ても、そこで就活を止めず、より納得できる企業を探し続ける動きです。

早期に内定を出す企業が増えたことで、かえって「もっと良い選択肢があるのでは」と比較検討の期間が延びている可能性があります。売り手市場が続くなかで、学生が主導権を持ちやすくなっている構図とも言えます。

インターンは「本選考の優遇」目的が最多

後ろ倒し志向とセットで押さえたいのが、インターン参加の目的です。調査時点(6月)でインターンに1社以上エントリー済みの学生は81.5%にのぼります。

その参加理由として最も多かったのが「本選考への優遇」で58.0%、27卒比で5.6ポイント増えました(出典:dodaキャンパス 2026年8月4日リリース)。

  • 早めにインターンへ参加し、本選考で有利なポジションを確保する
  • ただし内々定の決断は焦らず、4年次まで比較検討を続ける

言い換えると、インターンで接点は早く作るが、承諾は最後まで取っておくという戦略的な動き方が広がっています。

就活へのAI利用が広がっている

情報収集の手段そのものも変わりつつあります。HRproに掲載されたDeep Growth Partnersの28卒レポートでは、就活にAIを利用する学生が約9割に達したとされています(出典:HRpro掲載 28卒レポート)。

自己分析やエントリーシートの下書き、企業研究にAIを使う学生が増えれば、短時間で多くの選択肢を比較しやすくなります。これも「早く広げて、じっくり選ぶ」という行動を後押ししている要因の一つと考えられます。

企業の採用担当者が取るべき3つの対応

後ろ倒し志向は、早期内定を出せば囲い込めるという前提が通じにくくなったことを意味します。採用側は「接点の早さ」と「承諾の引き止め」を分けて設計する必要があります。

早期接点と長期フォローを両立させる

インターンで早く接点を持つこと自体は有効です。参加理由の最多が「本選考への優遇」である以上、優遇の中身を具体的に示せる企業ほど早期に関心を集めやすくなります。

一方で、内々定を出してから承諾までの期間が延びる前提でフォロー体制を組む必要があります。以下の観点が目安になります。

  • 内々定後も定期的な面談・情報提供で接点を保つ
  • 他社比較を前提に、自社を選ぶ理由を繰り返し言語化して伝える
  • 承諾を急かさず、学生の意思決定プロセスに寄り添う姿勢を示す

「納得感」を言語化して伝える

学生が意思決定を後ろ倒しにする理由が「納得感」にある以上、待遇や知名度だけでは決め手になりにくくなっています。仕事内容・成長機会・配属の見通しなど、入社後の像が具体的に描ける情報を早い段階から提供することが有効です。

早期内定を出しても、承諾までの空白期間を放置すると辞退につながりやすくなります。内定通知はゴールではなくフォローの起点だと捉えることが重要です。

AI活用を前提にした情報発信に切り替える

学生の約9割が就活にAIを使うとされる状況では、企業情報がAIに正しく読み取られるかどうかも接点づくりに影響します。採用サイトや募集要項を、検索しやすく比較しやすい形で整えておくことが、学生の選択肢に入るための前提になりつつあります。

保護者・就活生本人が押さえておきたいこと

この傾向は、就活生本人や、子どもの就活を見守る保護者世代にとっても示唆があります。

「早く決めなさい」が最適とは限らない

保護者世代の感覚では、早く内定を得て就活を終えることが安心につながります。しかし28卒のデータは、多くの学生が意図的に決断を遅らせて比較検討していることを示しています。

早期内定を得た学生に対しても、「そこで止める」のではなく「納得できるまで選択肢を見る」という現在の標準的な動き方を理解しておくと、家庭内での温度差を減らせます。

早く動くこと自体は依然として有利

一方で、就活開始の早期化が続いている点は見逃せません。大学2年次冬までに動き出す学生が3割を超えている以上、情報収集やインターン参加を後回しにすると、比較検討の土俵に乗り遅れるリスクがあります。

  • 動き出し(情報収集・インターン)は早めに
  • 承諾の判断は焦らず、複数社を比較して
  • AIは下調べの補助として使い、最終判断は自分の目で

この記事のまとめ

28卒就活は、開始の早期化と内々定取得の後ろ倒しが同時に進んでいます。動き出しは早く、決断は納得できるまで急がない。この行動様式は、選択肢を広げるフェーズと絞り込むフェーズを学生が意識的に分けている結果だと読み取れます。

企業側は早期接点と長期フォローの両立が、就活生本人は「早く動き、じっくり選ぶ」姿勢が、それぞれ有効です。まずは28卒の傾向を示すdodaキャンパスの調査データを一次情報で確認し、自社の採用スケジュールや自分の就活計画に照らして見直すところから始めてみてください。

よくある質問

28卒の就活はいつから始めればよいですか?

dodaキャンパスの調査では、大学2年次の冬までに就活を開始した28卒学生は31.6%で、27卒より5.6ポイント増えています。3人に1人が2年生のうちに動いている状況のため、情報収集やインターン参加は早めに始めておくと比較検討の選択肢を広げやすくなります。

早く内々定をもらった方が有利ですか?

早期の接点づくりは有利ですが、28卒学生の多くは内々定の取得を急がず、4年次まで複数社を比較する傾向にあります。就活を終えたい時期は「4年次4月以降」が74.8%と7割を超えており、早期内定を得ても比較検討を続ける動き方が標準になりつつあります。

インターンには参加した方がよいですか?

調査時点でインターンに1社以上エントリー済みの学生は81.5%にのぼります。参加理由の最多は「本選考への優遇」で58.0%です。本選考で有利なポジションを得る手段として、早めのインターン参加は有効だと考えられます。

就活でAIを使うのは一般的ですか?

HRpro掲載のDeep Growth Partnersのレポートでは、就活にAIを利用する28卒学生が約9割に達したとされています。自己分析やエントリーシートの下書き、企業研究の下調べに活用する学生が増えています。ただし最終的な意思決定は自分の判断で行うことが前提です。

企業は早期内定を出せば学生を囲い込めますか?

後ろ倒し志向が強まっているため、早期内定だけで承諾を得るのは難しくなっています。内々定後も定期的な面談や情報提供で接点を保ち、自社を選ぶ理由を繰り返し伝えるフォローが重要になります。

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