「就活生はAIに頼って手抜きしている」という見方は、データと食い違います。HR総研と就活会議が27卒学生346人に実施した調査では、エントリーシート(ES)を「AI丸写し」した学生は全体の3%にとどまりました。むしろ目立つのは、企業選びで「安定性」を重視する層の急増です。この記事では、27卒の企業選びで何が起きているのかを調査データから読み解き、学生と採用側それぞれが今取るべき動きを整理します。
27卒の企業選びで「安定性」が2位に浮上
HR総研と就活会議が実施した「2027年新卒学生の就職活動動向調査(6月)」によると、企業選びで「安定性」を重視する学生の割合が26卒比で12ポイント上昇し、重視項目の2位に浮上しました(出典:HRpro「【HR総研×就活会議】知名度がなくても選ばれる企業とは?」)。1位は変わらず「給与・待遇」です。
この調査は2026年6月時点のもので、有効回答は346件(同年3月調査は283件)でした。
「安定」が上位に来た背景
安定志向の高まりは、27卒に限った話ではありません。マイナビの27卒内定者意識調査でも、入社予定先を選んだ決め手として「安定している」が最多に挙がっています。複数の調査で同じ方向の結果が出ている点は、一過性ではない可能性を示しています。
- 27卒の企業選びで「安定性」重視が26卒比12ポイント増、重視項目の2位に
- 1位は引き続き「給与・待遇」
- 調査は2026年6月時点、有効回答346件
「安定」の中身は人によって違う
注意したいのは、「安定」という言葉の解釈が学生によって異なる点です。財務基盤の堅さを指す人もいれば、雇用の継続性、あるいは働き方の予測しやすさを指す人もいます。企業側が「うちは安定している」と伝えるだけでは、学生が求める安定と噛み合わないことがあります。
ES「AI丸写し」はわずか3%だった
同調査では、エントリーシートを生成AIで「丸写し」した学生は回答者の3%にとどまりました。「学生はAIに頼って手を抜いている」という採用側の不安を、データが打ち消した形です。
生成AIとは、文章や画像などを自動で作り出すAIのことで、就活ではESの下書きや自己分析の壁打ちに使われ始めています。
「使う」ことと「丸写し」は別
3%という数字が示すのは、AIを一切使っていないということではなく、丸ごとコピーして提出する学生が少ないということです。多くの学生は、AIを下書きや添削の補助として使い、最終的に自分の言葉へ落とし込んでいると読むのが自然でしょう。
採用側が警戒すべきは「AIの利用そのもの」ではなく、経験や志望動機の裏付けがない中身の薄いESです。ツールの使用有無より、内容の具体性で判断する姿勢が求められます。
就活サイトの利用率は大学区分で二極化
もう一つ見逃せないのが、就活サイトの利用傾向の偏りです。同調査では、「マイナビ」の利用率がその他私立大で59%、早慶大クラスで6%と、大学区分によって大きく分かれました。
つまり、学生がどの媒体で情報を得ているかは、在籍する大学の層によって別世界に近いということです。
採用側が取りこぼしを防ぐには
一つの媒体だけに出稿していると、届く学生層が偏ります。狙う学生に会いたいなら、次の点を確認しておきたいところです。
- 自社が採用したい層は、どの就活サイトを主に使っているか
- 特定媒体に偏った出稿で、別の層を取りこぼしていないか
- 大学のキャリアセンターやダイレクトリクルーティングなど、媒体以外の接点はあるか
調査結果から、学生と企業が今すべきこと
ここまでのデータを、それぞれの立場での行動に落とし込みます。元の調査は現状を示すものですが、そこから読み取れる打ち手は具体的です。
学生側:安定を「言葉」で終わらせない
安定志向が悪いわけではありません。ただ、自分が求める安定が何なのかを言語化しておくと、企業選びの軸がぶれにくくなります。
- 自分にとっての安定は「事業の継続性」か「雇用の継続性」か「働き方の予測しやすさ」か
- 志望企業は、その安定を客観的なデータ(財務・離職率・事業構成)で示せているか
- AIはESの下書きや自己分析の補助にとどめ、最終的に自分の経験で裏づける
企業側:情報開示で「納得」をつくる
学生が求めているのは、知名度ではなく納得できる情報開示だと調査は示唆しています。安定性をうたうなら、根拠となる数字をセットで出すことが、無名企業でも選ばれる条件になります。
- 「安定している」を、財務や事業構成などの数字で裏づけて示しているか
- 採用したい学生層が使う媒体に情報を届けられているか
- ESのAI利用を一律に減点せず、内容の具体性で評価しているか
この記事のまとめ
27卒の就活で起きている変化は、大きく3つに整理できます。
- 企業選びで「安定性」を重視する学生が26卒比12ポイント増え、重視項目の2位に浮上した
- ESの「AI丸写し」は3%にとどまり、AIへの過度な依存という見方は実態と合わない
- 就活サイトの利用率は大学区分で二極化しており、媒体戦略が学生との出会いを左右する
学生であれば、まず自分にとっての「安定」の中身を言葉にしてみてください。採用に関わる立場であれば、安定を語る根拠の数字を用意することが、次の一歩になります。いずれも、知名度ではなく納得できる情報をどう扱うかが問われています。
よくある質問
27卒の就活生はなぜ「安定性」を重視するようになったのですか?
HR総研と就活会議の調査では、安定性を重視する学生が26卒比で12ポイント増え、重視項目の2位になりました。マイナビの内定者調査でも「安定している」が入社先の決め手の最多に挙がっており、複数の調査で同じ傾向が確認されています。背景の断定はできませんが、一過性の動きではない可能性があります。
エントリーシートを生成AIで作るのは不利になりますか?
同調査では「AI丸写し」は3%にとどまりました。問題になりやすいのは、AIの利用そのものより、経験や志望動機の裏づけがない中身の薄いESです。下書きや添削の補助としてAIを使い、最終的に自分の言葉と経験で組み立てれば、不利になるとは限りません。
知名度の低い企業でも学生に選ばれますか?
調査は、学生が求めているのが知名度ではなく納得できる情報開示だと示唆しています。安定性や事業内容を客観的な数字とセットで開示できれば、知名度が高くない企業でも選択肢に入り得ます。
就活サイトはどれを使えばいいですか?
調査では「マイナビ」の利用率がその他私立大で59%、早慶大クラスで6%と、大学区分で大きく分かれました。どの媒体が最適かは学生の属性によって異なるため、企業側は採用したい層が使う媒体を確認し、学生側は複数の媒体やキャリアセンターも併用するのがおすすめです。
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