「新卒で入った会社を、いつか辞めるかもしれない」。そう考えるのは、もはや特別なことではありません。20代の転職希望者に聞いた最新調査では、63.1%が社会人になる前から転職を視野に入れていたと回答しました。この記事では、その数字の背景と、入社前から転職を織り込む世代がどうキャリアを設計すればよいかを、調査データをもとに整理します。
20代の63.1%が「入社前から転職を視野」──数字が示す価値観の変化
まず結論から言うと、20代にとって転職は「失敗したときの選択肢」ではなく、キャリア設計の初期段階から組み込まれた前提になりつつあります。
株式会社学情が20代専門転職サイト『Re就活』利用者186名を対象に実施した調査(2026年8月6日〜23日実施、9月7日発表)では、「社会人になる前から転職を視野に入れていた」と答えた20代転職希望者が63.1%に上りました。これは前年より5.2ポイント増えた数字です(出典:ぴあ「20代転職意識調査」2026年9月7日)。
「石の上にも三年」からの離脱
かつては「新卒で入った会社に最低3年は勤めるべき」という考え方が一般的でした。しかし今回の調査では、そもそも入社する前から「この会社が合わなければ動く」と決めている20代が6割を超えています。
これは、就職と転職を地続きで捉える感覚が広がっていることを示します。会社選びの段階で、すでに次のキャリアの可能性を計算に入れているわけです。
「辞める前提」ではなく「動ける前提」
ここで誤解しやすいのが、「入社前から転職視野=すぐ辞めるつもり」という読み方です。データを見ると、その解釈は正確ではありません。
転職を考え始める時期は「半年以内」が7割──早期化の実態
次に注目したいのは、転職を意識し始めるスピードです。転職を「考え始めた時期」は入社から早い段階に集中していました。
考え始めるまで「3カ月以内」が最多
今回の転職を考え始めた時期を尋ねた設問では、「〜3カ月前」が26.2%で最も多い回答でした。半年以内を合わせると69.8%となり、およそ7割が短期間で転職を意識し始めています(出典:ぴあ「20代転職意識調査」2026年9月7日)。
この結果からわかるのは、20代の転職検討が「長く悩んだ末の決断」ではなく、比較的早いタイミングで動き出す傾向にあることです。
早く動くこと自体は悪くない
早期に転職を意識すること自体を、ネガティブに捉える必要はありません。むしろ、合わない環境に長くとどまってスキルも意欲も消耗するより、早めに選択肢を検討するほうが合理的な場面もあります。
ただし、勢いだけで動くと後悔につながりやすいのも事実です。考え始めた段階でやっておきたい準備を、次の章で整理します。
「できるだけ長く」働きたい人が5割──短期離職志向ではない
意外に思えるかもしれませんが、20代は「すぐ辞める世代」ではありません。転職先での就業意向を見ると、むしろ長く働きたいという志向が中心です。
6割超が長期就業を希望
転職先で働きたい期間について、「不満が特にない限りできるだけ長く」が53.0%で最多でした。「定年まで働きたい」の10.7%と合わせると、6割超が長期就業を志向しています(出典:ぴあ「20代転職意識調査」2026年9月7日)。
一方で「できるだけ長く」の回答は前年より4.7ポイント減少しており、絶対的な安定志向がやや弱まっている点も読み取れます。
求めているのは「納得して長く働ける環境」
つまり20代が求めているのは、転職を繰り返すことではなく、「納得して長く働ける環境」です。入社前から転職を視野に入れるのは、その環境を見極めるための保険と考えると筋が通ります。
- 入社前から転職を視野に入れている:63.1%
- 転職検討を始めて半年以内:69.8%
- できるだけ長く+定年まで働きたい:6割超
要するに、「動ける準備をしつつ、腰を据えて働ける場所を探している」というのが、今の20代の実像に近いといえます。
入社前から転職を織り込む世代のキャリア設計3ステップ
では、転職を前提に置く世代は、具体的に何を準備すればよいのでしょうか。調査結果を踏まえ、20代が今日から始められる3つのステップを整理します。
ステップ1:持ち運べるスキルを1つ決める
会社に依存しない「持ち運べるスキル(ポータブルスキル)」を1つ選び、意識的に伸ばすことが出発点です。ポータブルスキルとは、業界や職種が変わっても通用する汎用的な能力を指します。
ステップ2:職務経歴を「早めに」言語化しておく
転職検討を始めてから半年以内に動く人が7割という結果は、準備期間が短いことを意味します。だからこそ、辞めると決める前から職務経歴を言語化しておくことが有効です。
- 担当した業務と役割を月単位で記録する
- 数字で表せる成果はメモに残す
- 身についたスキルを都度アップデートする
こうしておけば、いざ動くときに慌てて経歴を思い出す必要がなくなります。
ステップ3:「なぜ長く働けるか」で企業を見極める
6割超が長期就業を望んでいる以上、次の職場選びでは「長く働けるかどうか」を軸にすることが理にかなっています。給与や知名度だけでなく、働き方・評価制度・育成方針を確認しておきましょう。
転職を具体的に考え始めたら、まずは気になる業界の求人情報を眺め、どんなスキルが求められているかを把握するところから始めるのがおすすめです。
この記事のまとめ
20代の転職意識は、「辞めたい」ではなく「いつでも動ける状態でいたい」という方向に変化しています。調査が示した要点を振り返ります。
- 20代転職希望者の63.1%が入社前から転職を視野に入れていた(前年比5.2pt増)
- 転職を考え始めて半年以内に動く人が約7割
- 一方で6割超が「できるだけ長く」働きたいと考えている
大切なのは、転職を前提にしつつも、その場しのぎで動かない準備です。持ち運べるスキルを1つ育て、職務経歴を早めに言語化し、長く働ける環境を見極める。この3つを整えておけば、いざ環境が合わないと感じたときにも落ち着いて次の一手を選べます。まずは、自分の「持ち運べるスキル」を1つ書き出すところから始めてみてください。
よくある質問
入社前から転職を考えるのは、仕事へのやる気がないということですか?
必ずしもそうではありません。今回の調査では、入社前から転職を視野に入れる20代が6割を超える一方で、6割超が「できるだけ長く」あるいは「定年まで」働きたいと回答しています。動ける準備をしておくことと、目の前の仕事に真剣に取り組むことは両立します。
転職を考え始めてから、どのくらいで動く人が多いですか?
学情の調査(2026年)では、転職を考え始めた時期は「〜3カ月前」が26.2%で最多、半年以内を合わせると69.8%でした。約7割が半年以内に動き始めており、検討から行動までの期間は比較的短い傾向があります。
早期に転職するとキャリアに不利になりませんか?
一律に不利になるわけではありません。ただし、勢いだけで動くと準備不足になりやすいのは事実です。職務経歴の言語化や持ち運べるスキルの整理を事前に進めておくと、早いタイミングでも納得のいく転職につなげやすくなります。
20代のうちに何を優先して身につけるべきですか?
業界や職種が変わっても通用する「持ち運べるスキル(ポータブルスキル)」を1つ決めて伸ばすことが有効です。資料作成、数値分析、顧客折衝など、日々の業務で使っている力の中から、次の職場でも活かせるものを選ぶとよいでしょう。
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