上場企業に勤める人の平均年収は、778万7744円でした。一方で、一般的な正社員の平均年収は544万9000円。その差は233万円を超え、しかも5年連続で開き続けています。この記事では、東京商工リサーチの最新調査をもとに、上場企業と一般正社員の年収差がどこまで広がっているのか、業界や企業規模でどんな格差があるのか、そしてその差を意識して自分のキャリアをどう考えればよいのかを整理します。
上場企業の平均年収は778万円、一般正社員との差は233万円
東京商工リサーチが2025年度決算を対象に実施した「上場企業平均給与調査」によると、上場3123社の平均年収は778万7744円でした(前年度比プラス4.0%、出典:ITmedia ビジネスオンライン「上場企業の平均年収778万円 最も高い会社は2295万円」2026年8月24日)。
この数字を、私たちの多くが実感している「世間の平均」と比べてみます。国税庁の民間給与実態統計調査による正社員の平均年収は544万9000円。両者の差は233万8744円にのぼります。
注目したいのは、この差が単発の現象ではない点です。
なぜ差が広がり続けているのか
明確な因果は調査から断定できませんが、上場企業の平均年収が前年度比プラス4.0%と伸びている事実は読み取れます。上場企業は業績や人材確保の観点から賃上げに動きやすく、その勢いが一般平均を上回るペースで続いていると考えられます。
つまり、同じ「正社員」でも、どの土俵に立っているかで年収の伸び方そのものが変わってきているということです。
この数字を鵜呑みにしないための注意点
平均年収はあくまで全社員の平均です。役員報酬や管理職の高給が押し上げている企業もあり、20代・30代の実際の手取りとは開きがあります。
年収トップは2295万円、上位7社が2000万円を突破
平均年収が最も高かったのはヒューリックの2295万4000円でした(前年度は2035万7000円)。続く上位企業は次のとおりです(出典:ITmedia ビジネスオンライン、東京商工リサーチ調査)。
- 1位:ヒューリック 2295万4000円
- 2位:M&Aキャピタルパートナーズ 2265万8000円
- 3位:キーエンス 2178万3000円
上位7社はいずれも平均年収2000万円を突破しました。不動産、M&A仲介、精密機器といった、少人数で高い付加価値を生み出す業態が並んでいます。
伸び率で見ると景色が変わる
金額の絶対値だけでなく、伸び率にも目を向けると別の動きが見えてきます。前年度比の伸び率トップはグローバル・リンク・マネジメントのプラス48.3%で、890万8000円から1321万8000円へと大きく上昇しました(出典:ITmedia ビジネスオンライン)。
この背景には、新卒初任給を月35万円へ引き上げるなどの人材投資強化があるとされています。人材の獲得競争が激しい領域では、賃金を一気に引き上げる企業が出てきているということです。
高年収企業に共通する傾向
上位に並ぶ企業を見ると、一つの傾向が浮かびます。
- 少人数で高い利益を生む業態(不動産・金融・専門サービス)が多い
- 一人あたりの生産性が高く、成果が報酬に反映されやすい
- 専門性の高いスキルや資格が評価されやすい
要するに、年収の高さは「業界の構造」と「一人あたりが生む付加価値」に強く結びついています。個人の努力だけでなく、どの土俵で働くかが年収を大きく左右するということです。
年収格差を自分のキャリアにどう活かすか
ここまでの数字は、遠い世界の話ではありません。転職やキャリアアップを考えるうえで、実用的なヒントが3つあります。
業界・企業規模による差を前提に情報収集する
同じ職種でも、業界や企業規模によって年収水準は大きく変わります。転職を検討するなら、まず「その業界の年収の相場」と「上場・非上場での差」を把握することが出発点になります。
付加価値の高いスキルへ投資する
高年収企業に共通していたのは「一人あたりの生産性の高さ」でした。裏を返せば、生産性を高めるスキルを身につけることが、年収を押し上げる現実的な道になります。
具体的には、次のような領域です。
- IT・クラウド・データ分析など需要が伸びている専門スキル
- 業界特有の資格(不動産、金融、士業など)
- 成果を数字で示せるマネジメント・営業スキル
年収だけで判断しない視点も持つ
一方で、平均年収の高さだけで転職先を選ぶのは危険です。前述のとおり平均値は分布の実態を隠します。
つまり、年収データは「相場を知る材料」として使い、最終判断は自分の条件と照らし合わせて行うのが賢い使い方です。
この記事のまとめ
上場企業の平均年収は778万円台に達し、一般正社員との差は233万円を超えて5年連続で拡大しています。トップ企業は2000万円を超え、業界や企業規模による格差は現実として存在します。
ただし、この数字は「決まった運命」ではありません。ここから取れる行動は明確です。
- 業界・企業規模ごとの年収相場を先に把握する
- 付加価値の高いスキル・資格に投資し、一人あたりの生産性を高める
- 平均年収は相場の目安として使い、自分の年代・職種の実額まで確認する
年収格差を「自分には関係ない」と切り離すのではなく、相場を知るための材料として使ってみてください。キャリアアップを具体的に考え始めたら、気になる業界の年収データを調べ、そこで求められるスキルを一つ書き出すところから始めるのがおすすめです。
よくある質問
上場企業の平均年収778万円は、20代や30代でも当てはまりますか?
いいえ、そのまま当てはまるわけではありません。平均年収は全社員(役員や管理職を含む場合もあります)の平均であり、若手の実際の支給額とは差があります。年代別の水準は企業によって異なるため、応募前に自分の年代での実額を確認することをおすすめします。
上場企業と一般正社員の年収差はなぜ拡大しているのですか?
東京商工リサーチの調査では、上場企業の平均年収が前年度比プラス4.0%と伸びていることが示されています。上場企業は業績や人材確保の観点から賃上げに動きやすく、一般平均を上回るペースで上昇が続いていると考えられます。ただし個々の要因までは調査から断定できません。
年収の高い企業に転職すれば年収は上がりますか?
必ず上がるとは言い切れません。平均年収が高い企業でも、若手や特定職種では水準が異なります。労働時間や昇給の仕組み、自分の年代での支給額まで確認しないと、期待とのギャップが生まれることがあります。年収データは相場を知る材料として使うのが安全です。
年収格差を埋めるには何から始めればよいですか?
まずは志望する業界・企業規模の年収相場を把握することです。そのうえで、IT・データ分析などの需要が伸びるスキルや、業界特有の資格など、一人あたりの生産性を高める分野への投資を検討すると、年収を押し上げる現実的な道につながります。
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