副業を始めたい、あるいはすでに始めている方にとって、気になるのは「もし何かトラブルが起きたら、どうなるのか」という点ではないでしょうか。株式会社フクスケが副業に関わる16,139名を対象に実施した「業界横断 副業コンプライアンス調査2026」では、副業者本人の45.9%がトラブルを経験したと回答しました。しかも本業先の管理者や発注者はさらに高い割合でトラブルを把握しています。この記事では、調査データをもとに副業で実際に起きているトラブルの実態と、始める前に押さえておきたいリスク回避のポイントを整理します。
副業のトラブル経験率は当事者と周囲で認知ギャップがある
副業のリスクを考えるうえで最初に押さえたいのは、トラブルを「経験した」と答える割合が、立場によって大きく違うという点です。
フクスケの調査(2026年1月15日〜24日実施、n=16,139)によると、トラブル経験率は次のように分かれました。
- 副業者本人:45.9%
- 本業先の管理者:68.0%
- 副業の発注者:74.3%
出典:フクスケ「業界横断 副業コンプライアンス調査2026」(副業者n=8,579・本業先管理者n=3,763・副業発注者n=3,797の三者構成)
本人が気づかないトラブルが周囲では見えている
つまり、副業をしている本人が「特に問題ない」と感じていても、本業先の上司や発注先ではトラブルとして認識されているケースが少なくない、ということです。この認知ギャップは、副業を始める人にとって見落としやすい落とし穴です。
自分では順調に進めているつもりでも、本業の勤務時間との重なり、情報管理の甘さ、納期の遅れなどが、相手側では「問題」として蓄積している可能性があります。
トラブルが多い業界と、発覚後に待っている処分
トラブルの起きやすさは業界によっても差があります。そして、いざ発覚したときの対応は「注意で終わる」とは限りません。
トラブル発生率が高い業界
調査では、トラブル発生率が高い業界として農林水産・電気ガス水道・不動産業が挙げられています。副業者視点でも、公務員で62%、電気ガス水道業で63%と高い水準でした。
出典:フクスケ「業界横断 副業コンプライアンス調査2026 業界別リスク度分析」
規制や守秘義務が厳しい業界、あるいは兼業が制度的に制限されている職種ほど、トラブルの温床になりやすいと読み取れます。とくに公務員は法律で副業が原則制限されているため、この数字は納得しやすいところです。
発覚後の3割は懲戒処分や退職勧奨に至る
見過ごせないのは、トラブルが発覚した後の対応です。調査では次のような結果が出ています。
- 配置転換・権限制限・副業停止命令:36%(最多)
- 減給・出勤停止などの懲戒処分:23%
- 退職・解雇(退職勧奨を含む):10%
出典:フクスケ「業界横断 副業コンプライアンス調査2026」
減給以上の重い処分に至るケースが合わせて33%にのぼります。副業のトラブルは「上司に軽く注意される」程度で済む話ではなく、収入や雇用そのものに響く可能性がある、というのが実態です。
副業を始める前に確認したいリスク回避のポイント
ここまで見てきたリスクは、事前の確認で多くが防げるものです。副業を検討している方が押さえておきたいポイントを整理します。
会社の副業規定と「審査制」を確認する
まず確認すべきは、勤務先が副業をどう扱っているかです。調査では、副業を「審査制」で管理する企業が金融・証券・保険業で33%、情報通信業で31%と上位でした。
出典:フクスケ「業界横断 副業コンプライアンス調査2026」
審査制とは、副業を始める前に会社へ申請し、承認を得る仕組みです。届出だけで済む会社もあれば、業種や取引先によって不許可になる会社もあります。就業規則を読み、不明点は人事に確認しておくことが、後々のトラブルを避ける近道です。
始める前のチェックリスト
副業を始める前に、最低限次の点を確認しておくと安心です。
- 就業規則で副業が許可制・届出制・禁止のいずれかを確認する
- 本業と競合する業種・取引先の仕事を請けていないか確認する
- 本業で得た情報や資料を副業で使っていないか確認する
- 本業の勤務時間・機材・アカウントを副業に流用していないか確認する
- 副業の収入を確定申告する準備ができているか確認する
これらはいずれも、トラブルの典型的な原因に対応しています。とくに「本業の情報・時間・設備を副業に流用しない」という線引きは、認知ギャップから生まれるトラブルを防ぐうえで重要です。
発注側の視点も想像しておく
発注者のトラブル経験率が74.3%と最も高かった点も見逃せません。副業を請ける側は、納期・品質・連絡のこまめさといった基本的な仕事の進め方でも評価されています。副業は「本業の片手間」ではなく、一つの取引として相手に見られているという意識を持っておくと、発注先とのトラブルを減らせます。
この記事のまとめ
副業は収入やスキルの幅を広げる有効な手段ですが、始める前にリスクを理解しておくことが欠かせません。今回のフクスケ調査から得られた要点を振り返ります。
- 副業者本人のトラブル経験率は45.9%だが、本業先管理者68.0%・発注者74.3%とギャップがある
- トラブルが発覚すると3割が減給以上の懲戒処分や退職勧奨に至る
- 金融・情報通信業などでは「審査制」で副業を管理する企業が3割前後ある
副業を検討しているなら、まずは勤務先の就業規則を読み、副業が許可制か届出制かを確認するところから始めるのがおすすめです。ルールを把握したうえで、本業の情報や時間と明確に線を引いて取り組めば、今回見たようなトラブルの多くは避けられます。
よくある質問
副業が会社にバレると必ず処分されますか?
必ず処分されるとは限りません。調査では発覚後の対応として最も多いのは配置転換・権限制限・副業停止命令(36%)で、注意や指導にとどまるケースもあります。ただし減給・出勤停止などの懲戒処分が23%、退職・解雇(退職勧奨含む)が10%と、重い処分に至る例も一定数あります。就業規則違反の有無や本業への影響度によって対応は変わります。
どの業界が副業トラブルを起こしやすいですか?
調査では農林水産・電気ガス水道・不動産業でトラブル発生率が高いとされています。副業者視点でも公務員62%、電気ガス水道業63%と高水準でした。規制や守秘義務が厳しい業種、兼業が制度的に制限される職種ほどトラブルが起きやすい傾向があります。
副業の「審査制」とは何ですか?
副業を始める前に会社へ申請し、承認を得てから始める仕組みのことです。調査では金融・証券・保険業で33%、情報通信業で31%の企業が審査制を採用しています。届出だけで済む会社もあるため、まずは自社の就業規則で許可制・届出制・禁止のどれに当たるかを確認しましょう。
トラブルを避けるために最初に何をすればよいですか?
勤務先の就業規則を読み、副業がどう扱われているかを確認することから始めてください。あわせて、本業と競合する取引先の仕事を請けない、本業の情報・時間・設備を副業に流用しない、という線引きを徹底することが、トラブルの多くを防ぐ基本になります。
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