「内定をいくつも取って、その中から選ぶ」。就活といえばそんなイメージを持っていませんか。ですが27卒のデータを見ると、実際に手元にある内々定は平均1.7社。そして学生が最も重視したのは「安定している」ことでした。この記事では、マイナビの最新調査をもとに、いまの就活生が何を基準に会社を選んでいるのか、そしてそれが転職を考える社会人にも通じる理由を整理します。
27卒の内々定は平均1.7社という現実
まず押さえておきたいのが、内々定の保有数です。マイナビの「2027年卒内定者意識調査」によると、内々定を持つ学生の平均社数は1.7社でした(調査対象1629人、2026年6月15日〜7月5日実施、出典:J-CAST「【2027年卒就活生】入社予定先の選択ポイント」2026年9月7日)。
前年に続いて2社を下回る水準です。つまり「複数の内定を並べて比較する」という就活のイメージは、実態からややずれてきています。多くの学生は、限られた選択肢の中から進路を決めているのが現状です。
活動を続ける学生は前年より増えている
同じ調査では、就職活動を継続している学生(未決定・継続中の合計)の割合が30.6%で、前年から3.5ポイント増えていました(出典:同上)。
3人に1人近くが、まだ活動を続けている計算です。内々定を1社は持っていても、そこに決めきれずに動き続けているケースも含まれます。手元の選択肢が少ないからこそ、慎重になっている様子がうかがえます。
- 27卒の内々定は平均1.7社で、2社を下回る水準が続いている
- 活動継続中の学生は30.6%と前年より3.5ポイント増加
- 「たくさん内定を取って選ぶ」より「少ない選択肢を吟味する」構図になっている
企業選びの決め手は「安定している」がトップ
では、学生は何を基準に入社先を決めているのでしょうか。就職活動を終えた学生に入社予定先の決め手を聞くと、上位は次の順でした(出典:J-CAST、2026年9月7日)。
- 1位:安定している 53.4%
- 2位:社風が良さそう 34.5%
- 3位:福利厚生制度 27.4%
半数を超える学生が「安定」を挙げています。次点の「社風」「福利厚生」も、大きく稼ぐことより長く安心して働けるかを見ている項目です。
活動継続中の学生ほど安定志向が強い
興味深いのは、まだ活動を続けている学生のほうが安定を重視する割合が高い点です。活動継続中の学生では「安定している」が65.2%に達し、次いで「福利厚生制度」31.4%、「将来性がある」23.7%という順でした(出典:同上)。
決めきれずに動いている学生ほど、「この会社は安定しているか」を厳しく見ている、と読み取れます。裏を返せば、給与の高さや知名度だけでは決め手になりにくくなっているということです。
なぜ「安定」がこれほど選ばれるのか
調査は理由までは踏み込んでいないため、ここは推測になりますが、背景には物価上昇や雇用の先行き不透明感があると考えられます。景気や業界の変化が読みにくい時期ほど、「まず崩れない土台」を求める心理は自然なものです。
ただし注意したいのは、「安定している」の中身は人によって違うという点です。財務の健全性を指す人もいれば、離職率の低さや残業の少なさを指す人もいます。言葉の印象だけで判断せず、自分にとっての安定を具体的に言語化しておくことが大切です。
この傾向は転職を考える社会人にも通じる
安定志向は新卒だけの話ではありません。転職市場でも「年収の高さ」より「働き続けられるか」を軸に選ぶ人が増えている、という文脈と重なります。就活生が示した基準は、社会人がキャリアを考えるうえでも参考になります。
「安定」を自分の言葉で分解する3つの視点
抽象的な「安定」を判断材料にするには、いくつかの角度に分けて見るのが有効です。
- 事業の安定:主力事業が伸びているか、収益源が偏りすぎていないか
- 働き方の安定:離職率、残業時間、休職からの復帰実績など
- スキルの安定:その会社で身につく力が、社外でも通用するか
とくに3つ目は見落とされがちです。会社が安定していても、そこでしか通用しないスキルばかりが増えると、長期的にはむしろリスクになります。
情報の集め方を変えると判断精度が上がる
「安定しているかどうか」は、求人票の給与欄だけでは分かりません。次のような一次情報にあたると、印象ではなく事実で判断できます。
- 有価証券報告書や決算資料で事業構成と利益の推移を見る
- 口コミサイトで離職率や残業の実態を複数の声から確認する
- 面接や面談で「入社3年目の社員が何をしているか」を具体的に聞く
こうした確認を重ねると、「なんとなく安定していそう」から「この点は安定していて、この点は要確認」という具体的な評価に変わります。
この記事のまとめ
27卒の就活データが示したのは、限られた選択肢の中で「安定」を軸に会社を選ぶ学生の姿でした。要点を振り返ります。
- 内々定は平均1.7社で、複数比較よりも少ない選択肢を吟味する構図
- 入社の決め手は「安定している」53.4%がトップ、活動継続中では65.2%
- 「安定」は事業・働き方・スキルの3つに分けて具体的に見ると判断しやすい
この安定志向は、転職を考える社会人にも共通するテーマです。まずは自分にとっての「安定」が何を指すのかを言葉にしてみてください。そのうえで、気になる企業があれば決算資料や社員の声といった一次情報から確認していくと、印象に流されない企業選びができます。
よくある質問
内々定が1社しかなくても就活を続けたほうがいいですか?
社数そのものより、その1社に納得できているかが判断の軸になります。27卒でも平均1.7社と選択肢が少ない中で決める学生が多く、活動継続率は30.6%です(出典:J-CAST、2026年9月7日)。焦って数を増やすより、手元の内定先が自分の重視する条件に合っているかを確認することをおすすめします。
「安定している会社」はどう見分ければいいですか?
「安定」を事業・働き方・スキルの3つに分けて見ると具体的になります。事業なら決算資料で利益の推移を、働き方なら離職率や残業実態を、スキルなら社外でも通用する力が身につくかを確認します。求人票の印象だけでなく、一次情報にあたることが精度を高めます。
新卒の安定志向は転職市場にも関係ありますか?
関係があります。安定を重視する傾向は新卒に限らず、転職でも「年収の高さ」より「働き続けられるか」を軸にする人が増えている流れと重なります。就活生の企業選びの基準は、社会人がキャリアを見直すときの参考にもなります。
福利厚生を重視するのは甘えですか?
甘えではありません。27卒の調査でも福利厚生制度は重視項目の3位(27.4%)に入っており、長く働ける環境を見極める正当な観点です(出典:J-CAST、2026年9月7日)。給与だけでなく、休暇制度や復職実績まで含めて総合的に判断するのは合理的な選び方です。
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