在宅勤務を「今より増やしたい・維持したい」と考える正社員は、あわせて9割にのぼります。労務SEARCHが正社員300人に実施した調査で明らかになった数字です。ただし会社への要望の1位は「もっと在宅日数を増やしてほしい」ではありませんでした。この記事では、在宅勤務を巡る関心が「働く場所の是非」から「制度の柔軟さ」へ移った実態を整理し、転職や企業選びで確認すべき新しいチェックポイントを提示します。
在宅勤務を望む人は9割、でも要望の1位は「日数」ではない
まず結論から整理します。労務SEARCHが正社員300人を対象に実施した在宅勤務アンケート(調査期間2026年6月10〜21日)によると、今後の在宅勤務を「今より増やしたい」45.0%、「現状のまま維持したい」45.0%で、現状以上の在宅を望む人は計9割に達しました(出典:ITmedia ビジネスオンライン)。
一方で「会社に改善してほしいこと」の順位は、多くの人が予想する内容とは少し違います。
- 1位:悪天候・災害時の在宅勤務ルールを整備してほしい(21.8%)
- 2位:通信費・光熱費などの手当を充実してほしい(21.2%)
- 3位:在宅勤務できる日数を増やしてほしい(19.8%)
(出典:ITmedia ビジネスオンライン)
注目したいのは、「日数を増やす」ことが3位にとどまった点です。在宅勤務が制度として一定程度定着したいま、働き手の関心は「量」から「いざというときの柔軟さ」へと移りつつあると読み取れます。
勤務スタイルは「出社系」48%・「在宅系」52%で二極化
在宅勤務を全員が同じように使っているわけではありません。同調査では、現在の勤務スタイルがほぼ半々に分かれています。
- 出社系:完全出社27.0%+ほぼ出社21.0%=48.0%
- 在宅系:完全在宅22.7%+週3日以上15.0%+週1〜2日14.3%=52.0%
(出典:ITmedia ビジネスオンライン)
メリットは「通勤削減」、デメリットは「コミュニケーション」
在宅勤務のメリット1位は「通勤時間・コストの削減」で57.3%。デメリット1位は「コミュニケーションが取りにくい」で30.7%でした(出典:ITmedia ビジネスオンライン)。
つまり在宅勤務は、時間とコストを節約できる一方で、雑談や相談のしにくさという課題を抱えています。この構図は、完全在宅か完全出社かの二択ではなく、業務内容に応じて使い分ける発想が現実的であることを示しています。
「働き方の合う・合わない」が転職理由になりやすい
勤務スタイルが二極化しているということは、同じ「在宅勤務あり」の求人でも、実際の運用が大きく異なるということです。週1〜2日だけ在宅可の会社と、完全在宅が選べる会社では、生活設計への影響がまったく違います。
求人票の「テレワーク可」という表記だけを見て入社すると、思っていた働き方と現実がずれる可能性があります。次の章で、確認すべき具体項目を整理します。
転職・企業選びで確認したい在宅勤務の新チェックリスト
「在宅できるかどうか」だけでなく、「どんな条件で・どこまで柔軟に在宅へ切り替えられるか」を確認することが、ミスマッチを防ぐ鍵になります。今回の調査で浮かび上がった要望を、そのままチェックリストに落とし込みました。
- 悪天候・災害・猛暑時に在宅へ切り替えられるルールが明文化されているか
- 在宅勤務できる日数の上限・下限はどう決まっているか
- 通信費・光熱費などの在宅手当の有無と金額
- 在宅と出社の割合を自分で選べるのか、部署一律で決まるのか
- オンラインでの相談・雑談を補う仕組み(定例MTGやチャット文化)があるか
「災害・猛暑時の柔軟さ」を確認する理由
会社への要望1位が災害・悪天候時のルール整備だった背景には、切実な数字があります。同調査では、悪天候・災害時に在宅勤務を認めてほしいと「強くそう思う」73.3%+「ややそう思う」20.0%で、計93.3%が希望していました(出典:ITmedia ビジネスオンライン)。
台風や大雪、記録的な猛暑の際に、無理な出社を求められるかどうかは、安全と健康に直結します。面接の逆質問で「悪天候時の勤務ルール」を尋ねておくと、会社の柔軟性を測る材料になります。
手当の有無は「実質年収」に影響する
在宅勤務では、自宅の通信費や光熱費が実質的な自己負担になります。要望2位に「通信費・光熱費の手当充実」が入ったのは、この負担が無視できないためです。
在宅手当が月数千円あるかないかで、年間の実質的な手取りは変わります。給与額面だけでなく、在宅に伴う手当を含めた総額で比較する視点を持っておくと安心です。
この記事のまとめ
在宅勤務を巡る論点は、「在宅は是か非か」という段階を過ぎ、「非常時にどこまで柔軟に切り替えられるか」という制度設計へと移っています。今回の調査が示したのは、次のポイントでした。
- 現状以上の在宅勤務を望む正社員は9割にのぼる
- 会社への要望1位は「悪天候・災害時のルール整備」(21.8%)
- 勤務スタイルは出社系48%・在宅系52%で二極化している
- 災害時の在宅を望む人は計93.3%に達する
転職や企業選びの場面では、「在宅ができるか」だけでなく、頻度・対象・手当・非常時ルールまで確認することで、入社後のギャップを減らせます。気になる求人があれば、まずは求人票の在宅勤務条件を細かく読み込み、面接の逆質問で運用の実態を確かめてみてください。
よくある質問
在宅勤務を希望する人は実際どのくらいいますか?
労務SEARCHが正社員300人に実施した調査では、今後の在宅勤務を「今より増やしたい」が45.0%、「現状のまま維持したい」が45.0%で、あわせて9割が現状以上の在宅勤務を望んでいます(出典:ITmedia ビジネスオンライン)。在宅勤務への需要は依然として高い状態が続いていると言えます。
会社に最も求められている在宅勤務の改善点は何ですか?
同調査での要望1位は「悪天候・災害時の在宅勤務ルールを整備してほしい」で21.8%でした。2位は「通信費・光熱費などの手当充実」21.2%、3位は「在宅勤務できる日数を増やしてほしい」19.8%です。在宅日数の拡大よりも、非常時の柔軟な運用ルールが求められている点が特徴です。
転職時に在宅勤務の条件はどう確認すればよいですか?
求人票の「テレワーク可」という表記だけで判断せず、在宅の頻度・対象者・手当の有無・悪天候や災害時のルールまで確認することをおすすめします。面接の逆質問で「災害時の勤務ルール」や「在宅と出社の割合を自分で選べるか」を尋ねると、会社の柔軟性を具体的に測れます。
在宅勤務のデメリットにはどう対処すればよいですか?
調査では在宅勤務のデメリット1位が「コミュニケーションが取りにくい」(30.7%)でした。定例のオンラインミーティングやチャットでの相談文化があるかどうかは、在宅でも働きやすいかを左右します。企業選びの段階で、オンラインでの相談・雑談を補う仕組みがあるかを確認しておくと安心です。
関連記事



コメント