「副業ブーム」という言葉をよく耳にしますが、実際に副業をしている人は有業者の5.0%、およそ20人に1人にとどまります。総務省の公的統計が示すこの数字は、世の中のイメージと大きくずれています。この記事では、副業の実施率を職業別・都道府県別の切り口で読み解き、「関心はあるのに踏み出せない」層が最初の一歩を踏み出すための考え方を整理します。
副業をしている人は「20人に1人」という現実
まず結論から。日本で副業をしている人は、思われているほど多くありません。
総務省統計局「令和4年就業構造基本調査」の再集計(フクミツ編集部、2026年7月13日公表)によると、副業がある人は全国で約332万人。これは有業者の5.0%にあたります。つまり、働いている人のおよそ20人に1人しか副業をしていない計算です。
- 副業実施者は約332万人・有業者の5.0%(総務省統計)
- 「副業をしたい」追加就業希望者は約517万人・7.7%
- 実施者より「したい人」のほうが1.6倍多い
実施者5.0%に対し「したい人」は7.7%
注目したいのは、副業を「したいけれどできていない」人の多さです。
同じ調査で、追加就業を希望する人は約517万人(有業者の7.7%)にのぼります。これは実際に副業をしている人の約1.6倍です。要するに、副業に踏み切った人よりも、「関心はあるが踏み出せていない」人のほうが多いということです。
数字の上では、副業は「一部の人が実践しているもの」であり、多くの人にとってはまだ検討段階のテーマだと言えます。この構造を知っておくと、「周りはみんな副業しているのに自分だけ」という焦りから距離を置けます。
民間調査の数字が高く出る理由
一方で、民間の調査ではもっと高い実施率が出ることがあります。
たとえばエン・ジャパン運営『エンバイト』のユーザーアンケート(有効回答265名、2026年5〜6月実施)では、現在副業をしている人は26%、40代では33%と3人に1人に達しました。総務省の5.0%とはかなりの開きがあります。
この差は、調査対象の違いによるものと考えられます。転職・求人サービスの利用者は、そもそもキャリアや収入に前向きな層が多く、副業実施率も高く出やすいためです。全体像を知りたいときは総務省の公的統計、行動している層の温度感を知りたいときは民間調査、と使い分けるのがおすすめです。
職業別で最大4倍——管理職と現場職の副業格差
副業のしやすさは、職業によって大きく変わります。ここが公的統計ならではの興味深い切り口です。
総務省の再集計によると、職業別の副業保有率が最も高いのは管理的職業従事者の10.5%。逆に最も低いのは保安職業従事者(警察官・消防士など)の2.6%で、両者には約4倍の開きがあります。
管理職10.5%、保安職2.6%
なぜここまで差がつくのでしょうか。
考えられる理由の一つは、働き方の裁量です。管理職は勤務時間や成果の管理を自分でコントロールしやすく、専門知識を活かした顧問・アドバイザー業などにつなげやすい立場にあります。一方、保安職や現場中心の仕事は、勤務規程で副業が制限されているケースや、シフト勤務で時間を確保しにくいケースが多いと考えられます。
差から読み取れる「自分の武器」の見つけ方
この職業別データは、自分に何ができるかを考えるヒントにもなります。
管理職の副業保有率が高い背景には、「本業で培った専門性がそのまま外部で価値になる」という構造があります。つまり副業は、まったく新しいスキルをゼロから身につけるより、今の仕事で得た知識・経験を別の場所で活かすほうが始めやすいということです。現場職であっても、その業務で培った専門知識やノウハウは、発信・指導・監修といった形で価値に変えられる可能性があります。
京都が東京を上回る——都道府県別の意外な結果
副業には、地域による違いもあります。そして、その結果は少し意外です。
都道府県別の副業保有率トップは京都府の7.8%。次いで東京都が6.6%で2位、最も低いのは宮崎県の3.4%でした(総務省「令和4年就業構造基本調査」再集計)。副業というと大都市圏のイメージがありますが、実際には京都が東京を上回っています。
- 1位:京都府 7.8%
- 2位:東京都 6.6%
- 最下位:宮崎県 3.4%
京都が上位に来る要因は統計そのものからは断定できませんが、大学・研究機関の集積や、伝統産業・観光・IT関連など多様な仕事があることが関係している可能性があります。いずれにせよ、副業は「都会でないとできない」わけではないことは数字からも読み取れます。オンライン完結の仕事が増えた今、居住地の制約はさらに小さくなっています。
「関心はあるが踏み出せない」層のための第一歩
ここまで見てきた通り、副業で最も多いのは「したいけれど動けていない」層です。最後に、その一歩を踏み出すための考え方を整理します。
副業経験者のデータを見ると、収入面での手応えは人それぞれです。パーソルイノベーション運営『lotsful』の定点調査(2026年5月実施)では、副業経験者のうち月収「30万円以上」と回答した人は17.4%でした。高収入を得ている人は一部で、多くは小さく始めて徐々に広げているのが実態と考えられます。
まず小さく始める3ステップ
いきなり大きな成果を狙うのではなく、負担の少ない順に進めるのが現実的です。
- 就業規則を確認する:勤務先が副業を認めているか、申請が必要かをまず調べる
- 本業のスキルの棚卸しをする:今の仕事で得た知識・経験のうち、外部で価値になりそうなものを書き出す
- 小さく試す:週数時間から始められる案件やスキルシェアで、まず一件やってみる
このステップの狙いは、収入よりも「自分にもできる」という感覚をつかむことです。追加就業希望者が実施者の1.6倍いるという事実は、裏を返せば最初の一歩さえ踏み出せれば、上位2割に入れるということでもあります。
収入額よりも「続けられる形」を優先する
副業を長く続けるコツは、期待値を上げすぎないことです。
月30万円以上を得ている人は経験者の2割弱という数字が示す通り、副業は短期間で大きく稼ぐものというより、本業とは別の収入源やスキルの実験場として育てていくものと捉えるほうが現実的です。無理のないペースで続けられる形を先に決めておくと、途中で息切れしにくくなります。
この記事のまとめ
副業は「みんながやっている」ものではなく、実際には有業者の5.0%・20人に1人という水準です。ただし「したい人」はその1.6倍おり、多くの人にとってはこれから検討するテーマだといえます。
- 副業実施者は約332万人・有業者の5.0%(総務省統計)
- 「副業をしたい」層は約517万人・7.7%で実施者の1.6倍
- 職業別では管理職10.5%が最高、保安職2.6%が最低で約4倍差
- 都道府県別では京都7.8%が東京6.6%を上回り1位
もし副業に関心があるなら、まずは勤務先の就業規則を確認し、本業のスキルを棚卸しするところから始めてみてください。統計が示すのは、動き出す人がまだ少数派だからこそ、早く動くほど選択肢が広いという事実です。
よくある質問
日本で副業をしている人の割合はどのくらいですか?
総務省統計局「令和4年就業構造基本調査」の再集計(2026年7月公表)によると、副業がある人は全国で約332万人、有業者の5.0%です。およそ20人に1人という水準で、「副業ブーム」というイメージよりは少ない実態です。
副業をしたいと思っている人はどのくらいいますか?
同じ調査で、追加就業を希望する人(副業をしたいが実施していない層を含む)は約517万人、有業者の7.7%にのぼります。実際に副業をしている人の約1.6倍で、「関心はあるが踏み出せていない」層が多いことを示しています。
副業をしている人が多い職業・地域はどこですか?
職業別では管理的職業従事者が10.5%で最も高く、保安職業従事者(警察官・消防士など)は2.6%で最も低いという約4倍の差があります。都道府県別では京都府が7.8%で最も高く、東京都は6.6%で2位、最も低いのは宮崎県の3.4%でした。
副業でどのくらい稼げるものですか?
パーソルイノベーション運営『lotsful』の定点調査(2026年5月実施)では、副業経験者のうち月収「30万円以上」と回答した人は17.4%でした。高収入層は一部にとどまり、多くは小さく始めて徐々に広げているのが実態と考えられます。収入額だけでなく、無理なく続けられる形を優先するのがおすすめです。
副業を始める前にまず何をすべきですか?
最初に勤務先の就業規則を確認し、副業が認められているか、申請が必要かを調べてください。そのうえで本業で得たスキルや知識を棚卸しし、外部で価値になりそうなものから小さく試すのが現実的な進め方です。
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