「65歳で仕事を辞めて、あとはゆっくり」——そんな引退像を思い描いている方は、一度立ち止まって考えてみてください。マイナビの最新調査で、正社員が働き続けたい年齢は平均62.0歳まで上昇し、65歳以降も働きたい人が約8割にのぼることがわかりました。この記事では、その数字が示す働き方の変化と、長く働くために今からできる準備を整理します。
正社員の「働きたい年齢」が平均62歳に上昇した
まず結論から示します。マイナビが2026年に実施した「ミドルシニアの働く意識に関する実態調査」によると、正社員が働き続けたい年齢は平均62.0歳でした。2023年の調査開始時は60.2歳だったため、3年で1.8歳上昇したことになります。
さらに注目すべきは、この調査で全年代の平均が初めて60歳を超えた点です。特定の世代だけでなく、20代から50代まで幅広い年代で「60歳より先も働きたい」という意識が定着しつつあることを示しています。
調査の概要と信頼性
この調査は、マイナビが20〜50代の正社員4096名を対象に実施したものです。
- 調査期間:2026年4月8日〜20日
- 有効回答数:4096名
- 集計方法:総務省「労働力調査」の構成比でウェイトバック集計
ウェイトバック集計とは、回答者の年代や属性の偏りを実際の労働人口の構成比に合わせて補正する手法です。特定の層に回答が偏っていないよう調整されているため、全体傾向を読む材料として参考になります。
「定年後は非正規で」という前提が崩れつつある
これまで定年後の働き方といえば、再雇用や嘱託といった非正規での継続が一般的なイメージでした。しかし調査結果は、その前提が変わりつつあることを示しています。
65歳以降も「正社員として」働きたい人が約8割
長く働きたいという意識は、単に「働き口があればいい」という話ではありません。調査では、働き方の中身にまで踏み込んだ結果が出ています。
40・50代のミドルシニアに絞ると、36.8%が「65歳まで働きたい」、30.1%が「65歳以降も働き続けたい」と回答しました。合計すると、約7割が長期就労を希望していることになります。
8割近くが「正規社員として」を希望
さらに踏み込むと、65歳以降も就労を望む層の内訳が特徴的です。
- 78.3%が「正規社員として働きたい」と回答
- 67.2%が「慣れ親しんだ仕事・職場で働き続けたい」と回答
管理職に限ると「慣れ親しんだ職場で」という回答は77.3%にのぼり、非管理職を12.2ポイント上回りました。役職や経験を積んできた人ほど、これまでのキャリアを活かして働き続けたいと考える傾向が読み取れます。
- ミドルシニアの約7割が65歳前後まで、あるいはそれ以降も働きたいと希望
- 65歳以降の就労希望者の約8割が「正社員として」を望む
- 特に管理職層は「慣れ親しんだ職場」での継続を重視する
「細々と」ではなく「戦力として」働く前提へ
これらの数字が示すのは、定年後の働き方に対する期待の質的な変化です。収入を補う程度に軽く働くのではなく、正社員として戦力であり続けたいという意識が主流になりつつあります。
ただし、希望と現実が一致するとは限りません。企業側が65歳以降も正社員として受け入れる体制を整えているかは別の問題です。だからこそ、個人の側で「長く通用する働き手」であるための準備が意味を持ちます。
年下上司との働き方も避けて通れない
長く働くうえで、多くの人が向き合うことになるのが年下の上司との関係です。調査では、ミドルシニアの26.9%が「直属の上司が自分より年下」と回答しています。
そのうち53.5%が、年下上司とのジェネレーションギャップを実感していました。ギャップを感じる内容として最も多かったのは「仕事の進め方」です。
ギャップは「価値観の違い」として捉える
年下上司との関係でつまずくと、それが働き続けるうえでのストレス要因になりかねません。ただ、この「仕事の進め方の違い」は、世代間の優劣ではなく手法や前提の違いとして捉え直すことができます。
たとえば、チャットツールでのやり取りやオンライン会議の進め方など、近年主流になったスタイルに戸惑う場面は誰にでもあります。こうした変化に歩み寄れるかどうかが、年齢差のある職場で働き続けるうえで一つの分かれ目になります。
長く働くために今から準備できること
ここまでの調査結果を、個人の行動に落とし込んでみます。65歳以降も正社員として働きたいなら、その希望を実現するための土台づくりが必要です。ポイントは、スキルの維持・更新、つまりリスキリングです。
リスキリングとは、変化する仕事に対応するために新しいスキルを学び直すことを指します。長く働く前提に立つと、20年前に身につけたやり方だけで走り続けるのは難しくなります。
今日から始められる3つのステップ
具体的な進め方を、実行しやすい順に整理します。
- 現在の仕事で使うツールやルールの変化に、意識的にキャッチアップする
- 業務に直結する資格やスキルを1つ選び、学習の習慣をつくる
- 社内外の勉強会や研修に参加し、年代を超えた人とのつながりを持つ
いきなり大きな学び直しに踏み出す必要はありません。日々の業務のなかで新しいやり方を拒まず取り入れることも、立派なスキル更新です。
「慣れ親しんだ仕事」を続けるほど更新が要る
調査では、多くの人が「慣れ親しんだ仕事・職場で働き続けたい」と回答していました。この希望はごく自然なものですが、同じ職場で長く働くほど、仕事のやり方は少しずつ変化していきます。
この記事のまとめ
マイナビの調査は、定年後の働き方に対する意識が確かに変わってきていることを数字で示しました。要点を振り返ります。
- 正社員が働き続けたい年齢は平均62.0歳に上昇し、全年代で初めて60歳を超えた
- 65歳以降も働きたい層の約8割が「正社員として」を希望している
- ミドルシニアの4人に1人が年下上司を持ち、その半数以上が世代間ギャップを実感している
「長く働きたい」という希望を実現するかどうかは、企業の制度だけでなく、自分自身が変化に対応し続けられるかにもかかっています。まずは今の仕事で使う新しいツールや進め方を一つ、抵抗なく取り入れることから始めてみてください。気になる資格やスキルがあれば、公式サイトで学習内容を確認するところから動き出すのがおすすめです。
よくある質問
正社員が働き続けたい年齢が上昇しているのはなぜですか?
マイナビの調査では平均62.0歳と、2023年から1.8歳上昇しました。背景には年金支給開始年齢の引き上げや健康寿命の延伸があると考えられます。調査自体は要因を断定していませんが、「働けるうちは働く」という選択が広がっていることは数字に表れています。
65歳以降も正社員として働くことは実際に可能ですか?
希望する人は多く、65歳以降も就労を望む層の78.3%が正社員としての就労を望んでいます。ただし、企業が正社員として受け入れる体制を整えているかは別の問題です。希望を実現するには、長く通用するスキルの維持・更新が個人側の準備として重要になります。
年下上司とうまく働くにはどうすればよいですか?
調査ではミドルシニアの26.9%が年下上司を持ち、その53.5%が世代間ギャップを実感しています。内容は「仕事の進め方」が最多でした。年齢差を優劣ではなく手法や役割の違いと捉え、自分の経験を押し付けずに共有する姿勢が、長く働くうえで役立ちます。
長く働くために今から何を学べばよいですか?
まずは現在の仕事で使うツールやルールの変化にキャッチアップすることから始めるのがおすすめです。そのうえで、業務に直結する資格やスキルを一つ選び、学習を習慣づけると無理なく続けられます。大きな学び直しにいきなり踏み出す必要はありません。
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