「今の会社にいても、この先給料も役職も上がらない気がする」。そう感じているのは、あなただけではありません。2025年の正社員転職率は7.6%と調査開始以来の最高水準に達し、特に40代・50代のミドル層が動き始めています。この記事では、マイナビの最新調査をもとに、ミドル層が転職に踏み切る本当の理由と、転職前に確認すべき現実的な注意点を整理します。
正社員の転職率7.6%は何が過去最高なのか
マイナビの「転職動向調査2026年版(2025年実績)」によると、2025年の正社員転職率は7.6%(前年比+0.4ポイント)で、調査開始以来もっとも高い水準となりました。
転職率とは、その年に転職した人が正社員全体に占める割合を指します。数字だけ見ると小さく感じるかもしれませんが、前年から0.4ポイント上がり、過去最高を更新した点に意味があります。
- 2025年の正社員転職率は7.6%で調査開始以来の最高水準
- 上昇をけん引しているのは40代・50代のミドル層
- 「一部の若手だけが動く時代」ではなくなりつつある
上昇を支えているのはミドル層
同調査では、40代・50代のミドル層の転職率が2021年以降、右肩上がりで上昇を続けていると報告されています。
かつて転職は20代・30代が中心という印象が強くありました。しかし近年は、家庭やローンなど背負うものが増える40代・50代でも、現職に留まり続けることを当然としない人が増えています。
なぜ「今」なのか
背景には、人手不足による中途採用の活発化があります。マイナビの「中途採用・転職 総括レポート 2026年版」でも、企業の採用意欲は高い水準で推移しており、経験を積んだミドル層に門戸が開きやすくなっている状況がうかがえます。
つまり、動きたいミドル層の心理と、経験者を求める企業側の事情がかみ合った結果が、7.6%という数字に表れていると考えられます。
ミドル層を動かす「給与」と「昇進の頭打ち」
転職理由の全体トップは「給与が低かった」で23.2%、次いで「仕事内容に不満」が21.0%でした(マイナビ転職動向調査2026年版)。
一見すると、目先の給与への不満が最大の動機に見えます。しかし、年代別に見ると別の景色が浮かび上がります。
50代で急増する「この先が見えない」不安
同調査では、50代で「今後の昇進や昇給が見込めないと思った」という理由が前年比+4.3ポイント増加しています。
これは「今の給料が安い」という現在の不満とは質が異なります。要するに、今の会社に居続けても中長期的にキャリアが伸びないという、将来への見通しに対する不安です。
- 現在の給与への不満 = 「今」の問題
- 昇進・昇給が見込めない不満 = 「この先」の問題
ミドル層の転職は、後者の中長期的な展望が大きな引き金になっている点が特徴です。
半数超が「停滞感」を抱えていた
さらに、転職者の52.6%が「前職でキャリアに停滞感を感じていた」と回答しています。
給与や役職といった具体的な条件だけでなく、「成長している実感がない」「同じ仕事の繰り返しで先が見えない」という感覚が、転職の背中を押しているといえます。
- 全体の転職理由トップは「給与が低かった」23.2%
- 50代では「昇進・昇給が見込めない」が前年比+4.3ポイント増
- 転職者の52.6%が前職での停滞感を経験していた
「転職すれば年収アップ」は本当か
転職を考えるとき、多くの人が気にするのが年収です。ここは事実を冷静に見る必要があります。
マイナビの調査では、転職後の平均年収は533.7万円で、転職前の514.5万円より19.2万円増加していました。全体で見れば、転職によって年収が上がる傾向は確かにあります。
50代は年収が下がるケースもある
ただし、注意すべき数字があります。年代別に見ると、50代のみ平均で4.5万円の減少となっているのです。
つまり、ミドル層にとって「転職すれば年収が上がる」は必ずしも成り立ちません。50代の場合、これまで積み上げた社内での評価や役職手当がリセットされ、結果として年収が下がる可能性もあります。
全体平均では年収が上がる傾向があっても、50代は平均で減少しています。転職の目的が年収なのか、働き方や裁量なのかを整理しないまま動くと、期待とのギャップが生まれやすくなります。
年収以外の「得たいもの」を言語化する
50代で年収が下がる可能性があるからといって、ミドルの転職に意味がないわけではありません。裁量の大きさ、通勤負担の軽さ、これまでの経験を活かせる環境など、年収以外に得られる価値もあります。
大切なのは、自分が転職で何を優先したいのかを先に決めることです。年収を最優先にするのか、それとも働きがいや将来性を取るのか。この順位づけが、転職の満足度を左右します。
ミドル層が転職前に確認したい3つのこと
停滞感や将来不安から「辞めたい」と思っても、勢いだけで動くのは避けたいところです。ここでは、ミドル層が転職を検討する際に確認しておきたい観点を整理します。
- 不満の正体が「給与」なのか「将来性」なのかを切り分ける
- 転職後の年収が下がる可能性も含めて試算する
- 今の会社で解決できないか(異動・役割変更)も一度検討する
不満の正体を切り分ける
まず、自分の不満が「今の給与」なのか「この先の見通し」なのかを分けて考えます。前者なら社内の評価制度や交渉で解決できる場合もあります。後者であれば、環境そのものを変える転職が選択肢になります。
年収が下がる前提でも試算する
特に50代は、転職で年収が下がる可能性を織り込んで生活設計を確認しておくと安心です。下がっても許容できる範囲か、下がった分を裁量や働きやすさで納得できるかを、事前に見積もっておきます。
「辞める前提」で視野を狭めない
停滞感の原因が、部署や役割にある場合もあります。転職を検討すること自体は前向きな行動ですが、社内での異動や役割変更で解決できないかを一度確認しておくと、選択肢を広く持てます。
この記事のまとめ
2025年の正社員転職率が7.6%と過去最高を更新した背景には、40代・50代ミドル層の動きがありました。要点を振り返ります。
- 2025年の正社員転職率は7.6%で調査開始以来の最高水準
- ミドル層の転職理由は「給与」だけでなく「昇進・昇給が見込めない」将来不安が急増
- 転職者の52.6%が前職での停滞感を抱えていた
- 全体では転職で年収が上がる傾向だが、50代のみ平均で減少
ミドル層の転職は、目先の給与よりも「この先どう働きたいか」という中長期の視点が鍵になります。まずは自分の不満の正体を書き出し、転職で得たいものの優先順位を整理することから始めてみてください。具体的に動き出す際は、年収が下がる可能性も含めて求人を比較検討すると、後悔の少ない選択につながります。
よくある質問
40代・50代でも転職は本当に増えているのですか?
はい。マイナビの転職動向調査2026年版によると、40代・50代のミドル層の転職率は2021年以降、右肩上がりで上昇を続けています。2025年の正社員転職率全体も7.6%と調査開始以来の最高水準に達しています。
ミドル層が転職する一番の理由は何ですか?
全体では「給与が低かった」が23.2%でトップです。ただし50代では「今後の昇進や昇給が見込めない」という将来への不満が前年比+4.3ポイントと大きく増えており、中長期的なキャリア展望への不安がミドル層を動かしています。
転職すれば年収は上がりますか?
全体の平均では、転職後の年収は533.7万円と転職前より19.2万円増えています。ただし50代のみ平均で4.5万円減少しており、年代によっては下がる可能性があります。年収以外に得たい条件も含めて検討することが大切です。
転職を考え始めたら、まず何をすればよいですか?
自分の不満が「今の給与」なのか「この先の見通し」なのかを切り分けることから始めるのがおすすめです。原因が社内で解決できる場合もあります。転職を選ぶ場合は、年収が下がる可能性も含めて生活設計を試算しておくと安心です。


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