副業・フリーランス活用は2割で横ばい、案件細分化の実態
パーソルキャリアが展開する「HiPro」が2026年1月実施の企業調査などをもとに公開した『副業・フリーランス人材白書2026』によると、企業の副業・フリーランス人材活用率は20.0〜22.2%で、ハイクラス層・メンバークラス層のいずれも前年から有意な変化はありませんでした(出典:副業・フリーランス人材白書2026、https://hipro-job.jp/download/hipro_report_sf-survey2026.pdf)。一見すると「市場は停滞している」ように映る数字ですが、同じ調査の中身をよく見ると、依頼案件数は増加し、1人あたりの活用費用は減少するという、企業の発注行動そのものが変化している様子が浮かび上がります。この記事では、企業側のデータから見えてくる「案件の細分化・スポット化」という構造変化を読み解き、フリーランス・副業人材が今後どう案件獲得の戦略を立てるべきかを考えます。
活用率は横ばいでも、発注の中身は変わっている
『副業・フリーランス人材白書2026』によれば、企業における副業・フリーランス人材の活用率は20.0〜22.2%で、ハイクラス層・メンバークラス層とも前年から有意差のない横ばいという結果でした(出典:同白書)。単純に活用率だけを見れば「副業・フリーランス活用は伸び悩んでいる」という印象を受けるかもしれません。
- 企業の活用率:20.0〜22.2%(前年比で有意差なし・横ばい)
- 依頼案件数:「2件以上」が約8割、中央値5件(前年より増加)
- 1人1か月あたりの活用費用:前年の30万円台から20万円台へ減少
しかし、活用している企業に限って見ると、依頼案件数は「2件以上」が約8割を占め、中央値も5件へと前年より増加しています(出典:同白書)。つまり、活用する企業の絶対数は増えていないものの、すでに活用している企業は1社あたりより多くの案件を発注するようになっているということです。活用率という表面的な数字だけでは、この変化は見えてきません。
なぜ「案件は増えて、予算は減る」のか
さらに注目すべきは、1人1か月あたりの活用費用が前年の30万円台から20万円台へと減少している点です(出典:同白書)。案件数が増えているにもかかわらず、1人あたりの単価・予算が下がっているという一見矛盾した動きは、企業が大きな仕事をひとりのプロ人材にまとめて依頼するのではなく、業務を細かく切り分けてスポット的に複数の人材へ分散発注する方向にシフトしていることを示していると考えられます。
同白書では、6割以上の企業が労働力不足を実感している一方で、活用費用の工面に苦戦する企業が増加している実態も報告されています(出典:同白書)。人手が足りないという課題は依然として大きいものの、企業側にも予算の制約があるため、「フルタイムに近い形で1人に高額を払う」よりも「業務を分解し、それぞれに適した人材へ少額ずつ発注する」という選択が広がっているのだと推測できます。
これまで「副業の案件単価が下がっている」という現象は、主に個人(受注側)の視点から語られることが多くありました。しかし今回のデータは、それが企業側の発注行動の変化——案件を細分化し、スポットで複数人に依頼する動き——から生まれている需要サイドの構造変化であることを裏付けています。[INTERNAL_LINK: フリーランス 案件単価 下落]
市場全体では裾野が広がっている
案件の細分化と並行して、フリーランス・副業人材を取り巻く市場そのものは拡大を続けています。フリーランス協会は2026年7月1日に「フリーランス・副業人材サービスカオスマップ2026」を公開し、同協会の会員総数は2026年6月30日時点で149,629名に達したと発表しました(出典:「フリーランス・副業人材サービスカオスマップ2026」を公開、https://blog.freelance-jp.org/20260701-25818/)。
企業の活用率自体は横ばいでも、フリーランス・副業として働く個人の裾野や、それを支援するサービスの数は着実に増えていると見られます。つまり、限られたパイの中で「より多くの案件が、より細かい単位で、より多くの担い手に分配される」構造が強まっているというのが、現時点での市場の実像に近いでしょう。
フリーランス側が今取るべき戦略
企業が案件を細分化・スポット化する流れが続くのであれば、フリーランス・副業人材の側も「1つの大型案件に依存する」働き方から、「複数の小口案件を組み合わせる」働き方への転換を意識する必要があります。
- 単価の高い1社依存ではなく、複数クライアントとの取引を並行して持つ
- スポット案件でも成果を出し、継続発注・追加発注につなげる実績づくりを意識する
- 細分化された業務範囲を明確にし、依頼内容の切り出し方について企業側と認識をすり合わせる
特に、案件が小口化するということは、1件あたりの契約交渉や見積もり作成、進行管理といった「案件外の事務コスト」の比重が相対的に高まることを意味します。複数の小口案件をこなすための時間管理・営業活動の効率化も、今後より重要になってくると考えられます。[INTERNAL_LINK: フリーランス 案件獲得 方法]
こうした変化に対応するためには、特定分野の専門性を明確に打ち出し、「この分野ならこの人」と企業側から指名されやすいポジションを築くことも有効な選択肢の一つです。専門性の強化には、リスキリング(学び直し)を通じたスキルアップも役立つでしょう。[INTERNAL_LINK: リスキリング 始め方]
まとめ
『副業・フリーランス人材白書2026』が示したのは、企業の活用率という表面的な数字は横ばいでも、その内側では「案件数の増加」と「1人あたり予算の減少」という発注行動の変化が進んでいるという実態でした。企業が業務を細分化してスポット的に依頼する傾向が強まる中、フリーランス・副業人材の側には、単価の高い大型案件への依存から脱却し、複数の小口案件を組み合わせて安定した収入を確保する戦略が求められます。市場の裾野が広がり続けている今こそ、自分の専門性を明確にし、細分化された案件の中でも選ばれる存在になるための準備を始めてみてはいかがでしょうか。
よくある質問
Q. 副業・フリーランス人材の企業活用率が横ばいなのはなぜですか。
A. 『副業・フリーランス人材白書2026』では具体的な要因までは明らかにされていませんが、活用費用の工面に苦戦する企業が増えている実態が報告されており、コスト面の制約が新規活用の拡大を抑えている可能性があります(出典:同白書)。
Q. 依頼案件数が増えているのに、1人あたりの活用費用が減っているのはなぜですか。
A. 企業が大きな業務をまとめて1人に発注するのではなく、業務を細分化して複数の人材にスポット的に分散発注する傾向が強まっているためと考えられます(出典:同白書)。
Q. 案件が細分化される中で、フリーランスはどう対応すればよいですか。
A. 1社への依存を避け、複数クライアントとの取引を並行して持つこと、専門性を明確にして指名されやすいポジションを築くことが有効な対応策として考えられます。
Q. フリーランス・副業を支援するサービスは増えているのですか。
A. フリーランス協会が2026年7月1日に公開した「フリーランス・副業人材サービスカオスマップ2026」によると、同協会の会員総数は2026年6月30日時点で149,629名に達しています(出典:https://blog.freelance-jp.org/20260701-25818/)。
Q. この記事の情報はどこで確認できますか。
A. パーソルキャリア「HiPro」が公開した『副業・フリーランス人材白書2026』(https://hipro-job.jp/download/hipro_report_sf-survey2026.pdf)と、フリーランス協会の発表(https://blog.freelance-jp.org/20260701-25818/)が一次情報です。

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