AIエージェント導入企業は48%、鍵は「設計・評価人材」

AIエージェント導入企業は48%、鍵は「設計・評価人材」

AIエージェント導入企業は48%、鍵は「設計・評価人材」

パーソルキャリア株式会社が2026年5月20日〜22日に実施した「大手企業におけるAIエージェント活用実態調査」(売上高1,000億円以上の企業に勤める部長職以上505名対象)によると、AIエージェントの本番運用に踏み出した企業は48.3%にのぼりました。一方で、活用を推進する体制については73.1%が「不足している」と回答しており、導入率の高さと組織の準備不足というねじれが浮き彫りになっています(出典:パーソルキャリア株式会社「大手企業の『AIエージェント活用』に関する実態調査」)。

「AIエージェントに仕事を奪われるのではないか」という不安の声はよく聞かれますが、この調査結果はむしろ逆の現実を示しています。企業側はAIエージェントを設計・評価できる人材を確保できず、活用を思うように広げられずにいるのです。この記事では、調査データをもとに、企業がいま何に困っていて、どのようなスキルを持つ人材を求めているのかを整理し、リスキリングとしてどこから学び始めればよいかを具体的に示します。

目次

大手企業のAIエージェント活用は「本番運用」段階に

パーソルキャリアの調査では、AIエージェントの活用状況を「全社展開・経営戦略統合」「複数部署で本番運用」「一部部署で本番運用」の3区分に分けて集計しており、これらを合計すると48.3%に達しました(パーソルキャリア株式会社、2026年5月調査)。売上高1,000億円以上という大手企業に限った調査ではありますが、実験段階(PoC:Proof of Concept、概念実証の略で、本格導入前に効果を検証する試験運用のこと)を超えて実務に組み込む企業が半数近くに達している点は、AIエージェント活用が特別な取り組みではなく通常の業務プロセスになりつつあることを示しています。

活用企業の約6割が効果を実感

PoC導入以上に進んでいる層(n=317)に限定すると、59.0%が何らかの効果を実感していると回答しました。中でも注目すべきは、効果を感じたと答えた人のうち47.6%が「属人化していた業務ノウハウの形式知化・継承が進んだ」と回答している点です(パーソルキャリア株式会社、2026年5月調査)。

AIエージェントは単なる作業自動化のツールではなく、ベテラン社員の暗黙知を言語化し、組織に蓄積する役割を担い始めています。

これは、AIエージェントの価値が「作業時間の削減」だけにとどまらないことを意味します。長年の経験で培われたノウハウが特定の個人に依存している状態(属人化)は多くの企業の課題でしたが、AIエージェントとのやり取りを通じてその知識が形式知(言葉やマニュアルとして共有できる知識)に変換されつつあるようです。

73%が「推進体制が不十分」と回答した理由

活用が進む一方で、調査では推進体制についての厳しい自己評価も明らかになりました。「体制が十分に整っている」と回答したのはわずか19.8%にとどまり、73.1%が体制の不足感を抱えていると回答しています(パーソルキャリア株式会社、2026年5月調査)。

最大の障壁は「設計・評価できる人材の不足」

導入・活用における最大の障壁として最も多く挙げられたのは、「AIエージェントを設計・評価できる人材の不足」(45.9%)でした(パーソルキャリア株式会社、2026年5月調査)。

ここで言う「設計・評価」とは、次のような業務を指すと考えられます。

  • 業務プロセスのどの部分をAIエージェントに任せるかを見極める設計力
  • AIエージェントの出力が業務要件を満たしているかを判断する評価力
  • 導入後の運用ルールやガバナンス(統制の仕組み)を整備する力

つまり、AIエージェントそのものを操作するスキルよりも、「どこにどう使うべきかを設計し、成果を検証する」という上流の職能が不足しているということです。これは単純なツール操作研修では埋まらないギャップであり、業務知識とAI活用リテラシーの両方を備えた人材が求められていることを示しています。

「AIエージェントを使える」ことと「AIエージェントの設計・評価ができる」ことは別のスキルです。後者の人材が企業内で決定的に不足しています。

なぜ「設計・評価人材」の需要が急拡大しているのか

この調査結果を読み解くと、リスキリングの方向性について重要な示唆が見えてきます。従来の「AIに仕事が奪われる」という不安ベースの議論とは異なり、企業側は明確に「AIエージェントを活用しきれる人材が足りない」という需要ベースの課題を抱えているという事実です。

求められるのは技術者だけではない

「設計・評価」という職能は、エンジニアだけに求められるものではありません。むしろ、現場の業務プロセスを熟知した非エンジニア人材が、AIエージェントの導入設計に関わるケースが増えると考えられます。業務ノウハウの形式知化が効果として挙げられていたことからも、現場を知る人材がAIエージェントとの協働設計に加わる意義は大きいと言えます。

学習の優先順位をどう考えるか

[INTERNAL_LINK: 生成AIリスキリング 学習ロードマップ]の記事でも触れていますが、AIエージェント時代のリスキリングでは、プロンプト作成のテクニックだけでなく、以下のような視点を段階的に身につけることが重要になります。

  • 自部門の業務プロセスをタスク単位に分解し、AI化の可否を判断する視点
  • AIエージェントの出力精度をチェックし、業務基準に照らして評価する視点
  • 導入後の運用ルールや例外対応を設計する視点

これらは、特定のツールの操作方法を覚えるよりも汎用性が高く、AIエージェントの技術やサービスが変わっても通用するスキルです。[INTERNAL_LINK: 業務設計スキル 学び方]から着手し、自社の業務プロセスの棚卸しを実践してみることが、最初の一歩になります。

個人としてどう動くべきか

企業側の人材不足は、裏を返せば個人にとっての機会でもあります。社内でAIエージェント活用の設計・評価に関わる役割は、既存の職種にはまだ明確なポジションとして定着していないケースが多く、手を挙げた人が担うことのできる余地が残っています。

「AIエージェントを設計・評価できる人材」は、まだ企業内で職種として確立されていません。今の段階で経験を積むことが、将来のキャリアの差別化につながります。

[INTERNAL_LINK: AIエージェント 資格 講座]のような学習リソースを活用しつつ、自部門の小さな業務からAIエージェント導入を試してみることが、実践的なスキル習得の近道です。座学だけでなく、実際に自分の業務でAIエージェントを試し、その効果を評価する経験を積むことが、企業が求める「設計・評価」の力に直結します。

まとめ

パーソルキャリアの調査からは、大手企業のAIエージェント活用が48.3%まで進む一方で、73.1%の企業が推進体制の不足を感じ、その最大の要因が「設計・評価できる人材の不足」(45.9%)にあることがわかりました。効果を実感している企業では、属人化した業務ノウハウの形式知化が進んでいるという報告もあり、AIエージェントは単なる効率化ツールを超えた役割を担い始めています。

「AIに仕事を奪われる」という受け身の不安を抱くよりも、「AIエージェントを設計・評価できる人材」という新しい職能に自分から近づいていく姿勢が、これからのキャリア形成には有効です。まずは自分の業務の中で、AIエージェントに任せられる範囲を見極めるところから始めてみてください。

よくある質問

Q. AIエージェントの「設計・評価」とは、具体的にどんなスキルですか。
A. 業務プロセスのどこにAIエージェントを組み込むかを判断する設計力と、AIエージェントの出力が業務要件を満たしているかをチェックする評価力を指します。プログラミングスキルというよりも、業務知識とAI活用リテラシーを組み合わせた実践的な力です。

Q. エンジニアでなくてもAIエージェントの設計・評価に関われますか。
A. 関われる可能性は十分にあります。調査では業務ノウハウの形式知化が効果として挙げられており、現場の業務を熟知した人材が設計プロセスに加わる意義が大きいと考えられます。

Q. 「本番運用」と「PoC」の違いは何ですか。
A. PoCは本格導入前に効果を検証する試験運用の段階を指します。本番運用は実際の業務プロセスに組み込まれ、継続的に使われている状態を指します。

Q. AIエージェント活用で得られる効果として、業務時間削減以外に何がありますか。
A. 調査では、活用企業の47.6%が「属人化していた業務ノウハウの形式知化・継承が進んだ」と回答しています。ベテラン社員の暗黙知が言語化され、組織に蓄積される効果が報告されています。

Q. これからAIエージェント関連のスキルを学ぶには何から始めればよいですか。
A. まずは自分が担当する業務プロセスを洗い出し、どの部分がAIエージェントに任せられそうかを考えることから始めるとよいでしょう。実際に試して効果を評価する経験そのものが、企業が求める「設計・評価」の力を養います。

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